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修正の芝居


「えーっと、とりあえず各自で座るところを確保してください」


私たちは荒れた居間に戻った。

ひとまずお茶を入れて…ん?


「どうして台所は綺麗なままなんだろ?」


気付いた。台所は荒らされた形跡がない。


「…台所は小十郎が探ったからな」


なるほど。
つまり私の部屋は伊達さんか猿飛さんが漁ったわけか。

破れたメモ帳は高くつきますよ?




お茶を入れて、一息ついたところで、昨夜の説明会が始まった。
















「あー…恐らく、警察ですね、それ」


説明会の結果、衝撃の事実が判明した。


昨夜遅く、幸村について外にいた猿飛佐助が職務質問を受けたようだった。

忍なんだから見つからないようにしてほしい。


「で、どうなったんですか?」

「あはー。手刀で気絶させた」


とか言って笑ってくる。



…どうしよう。
この人、公務執行妨害だ。
犯罪者だ。


これは困った。


「そんな展開は知らないんですけど」


普通、始めの方はもっとスムーズに進むはずなのに。

やはり、初日に説明を省いたせいで何かがずれたのだろうか?


「修正が必要ですね」

「?」


不思議そうな目で見られた。
独り言は癖だ。
慣れてもらうしかない。

そんな目は無視して、続ける。


「買い物に行きます!」

で、誰かナンパされて下さい。


物語の下心ないヒロインに見えるよう、明るく笑う。


うん。やっぱりこれだ。

逆トリにおいて、最初に盛り上がるところ。

これをしたら、何故かいろいろと間違っている軌道も修正されるだろう。







「…あれ?買い物に行く服どうしよう」


しかし現実は、物語みたいに都合よく進まない。


明るいヒロインを演じるのは、私には無理。


深刻そうな顔をしてしまった。


だって、一人で買い物じゃあ、つまらないから。




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あきゅろす。
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