被害のメモ
あーあぁ。
普通に朝を迎えてしまった。
なんか腹立つ。
しかも、部屋が散らかってる。
ベットから起き上がった私の機嫌は最悪。
「私の部屋以外って言ったのに」
彼らは私の部屋も遠慮なく漁ったようだ。
本棚もクローゼットも掘り返されている。
「…下着が」
床に墜ちてる。
いや、きっとこれが何か分からなかったんだ。
そうであってくれ。
中学の卒業アルバムまで発掘されている。
なんて人達だ。
どうして女の子が嫌がるものばかり
「あ、指輪」
なくなったと思ってたのに。
これはちょっと感謝。
「私、よく起きなかったわね…」
寝汚いとか思われてたらどうしよう。
床に散らばった中から、ワンピースとレギンスを救出して着た。
下着も着けたさ。
誰かが触ったんだろうけど。
枕元に置いていたメモ帳がない。
あれはこれから大切になるのに。
探す。
あった。
なんで表紙が破れてるんだ。
私の部屋は一階だ。
彼らは二階で寝たはず。
恐る恐るドアをあけて、リビングへ。
うーわぁ。
凄惨たる有様。
しかもなんか臭うぞ。
飾ってあった5000ピースのパズル（私の力作）が虚しく床に散らばっている。
ばらばらで。
「何？パズルの何がそになに怪しかったの？」
あれか？
キャラクターの笑顔が怪しかったのか？
あちこち見てまわる。
携帯発見。
首がもげたテディベア。
あんなに可愛かったのに。
首には、ご丁寧に赤い絵の具がついて…
「…絵の具！？」
あいつらああああぁ！！
絵の具のチューブがぶちまけられていた。
臭いの元凶はこれか！
怒りに任せてドスドス歩き、パズルのピースもデジカメも本も踏みつけ、テラスへ繋がる窓を開け放った。
「おはようございます。酷い朝ですね」
４人はテラスにいた。
私は幸村（呼び捨て）をにらみつけた。
部屋のことにも腹は立っているが、許可したのは自分だ。
まぁ、許さないこともない。
だが、真田幸村は許せない。
くそっ。
今日は幸村の
《親方さぶぁぁあっ！》
で目覚めることを期待してたのに。
普通に朝を迎えてしまったではないか！
昨日の尻尾や耳といい…
真田幸村、つくづく人の期待を裏切る男である。
（《破廉恥》を言ってくれたことが唯一の救い）
…なぜか幸村は泥にまみれていた。
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