あやさまちゅちゅぺろぺろ
当サイトの天使ことあやさまに捧げます

『大人になって余裕のあるプロ榛名に甘やかされるダメ大人阿部くんと阿部くんへの恋心を引き摺る不憫な花井』というリクエストのはずなのですが、応えられた気があまりしません…
花井が不憫なのは間違いないです

!軽いエロ入ります!





なぜ、どうして。どうしてこんなことに!
太腿の上にぺったりと乗った尻の心地よい重み。
花井は現実を受け止めきれず、その目をぐるぐると忙しなく動かした。

「なぁ、花井……」

艶っぽい声が吐き出されるとともに、肩に寄せられた腕がするりと首に巻き付いた。
生温い吐息が額を擽り、花井は眼を細めた。

「シよう?」

悪戯っぽく少しだけ舌を出して、阿部は誘った。

「な、何言ってんだよ」
「ずっといいなと思ってたんだよ。なんつーの? 細マッチョ?」

冷たい手が花井の服の中に入り込み、無遠慮に腹筋を触る。

「だめ? 絶対後悔させないぜ?」

唇を尖らせ子供っぽく言いながらも、阿部は指先でエロティックに花井の肌をなぞった。
薄い皮膚だけでなく、長年抱き続けてきた劣情までなぞられ、花井の体から抵抗する力が抜けていく。


その日、学食にふらりとやってきた阿部は、途中から脳内野球のスコアが書かれたノートを花井に見せて「英語教えて」と言ってきた。
断る理由はない。二つ返事で了承すると、今度は「ゆっくり教えて欲しいから、俺ん家にこないか」と言った。親しい仲だ。これにも断る理由はない。
こうして花井は阿部の家に招かれたのだった。
阿部の家はやたらと豪華で、表札には「榛名」と書かれていた。つまり、そういうことだろう。
だというのに。

積極的に受け入れることもないが、拒否することもない。それどころか花井の視線はぶれることなく、阿部へ釘付けとなっている。
それに気をよくした阿部は、更に花井の劣情を煽ろうと素早くシャツを脱ぎ捨てた。
野球で締まった体が露わになる。阿部が誰のものなのかを主張する無数のキスマークと噛み跡が付けられた体は無残であるが、花弁を散らす薔薇のような生き生きとした、それでいて毒々しい美しさがあった。

「感度は保証する。だから、な?」

何言ってるんだお前。駄目だろ、そんなこと。お前、榛名さんと付き合っているんだろ。
花井の頭に言うべきことが次々と浮かんでは、ぐしゃぐしゃに小さくなって消えていく。
パクパクと動く口元に親指を添えた阿部は、挑発するように花井の下唇をなぞったあと、見せつけるようにゆっくりと親指を舐めた。
間接キスだ。

「顔、赤いよ?」

意地悪く指摘されて花井は「ばっ……!」と言葉になりそこねた声をあげた。

「これからもっと凄いコトすんのに」

鈴を転がすように阿部は色っぽく笑う。
わざとらしく作ったしなが絶妙にセクシーだ。

「は、るなさんはいいのかよ?」
「榛名のことなんて今はいいだろ」
「俺は、」

ずっとお前が好きだった。
「お前には、それを受け止める覚悟があるのか?」と花井は聞こうとした。
しかし聞けなかった。
娼婦のように笑う阿部の目に浮かぶのは肉欲だけで、自分の抱く真摯な想いは鼻で笑われるのではないかという恐怖が花井の口を縫い付けた。

沈黙を了承と取った阿部は花井の頬を両手で挟み、顔を近づけた。
どれほど空想したかも知れぬ唇が間近に迫る呆気なさと、押し寄せる情欲に花井は、もうどうにでもなれ! という気になり眼を瞑った。

「なぁにしてんのかな、お前は」

どこからともなく阿部のものでも花井のものでもない声が聞こえてきた。
不可思議に眉を寄せている暇もなく、甘美な温かさで花井を拘束していた重みが消えた。
とてつもなく嫌な予感がして花井が恐る恐る目を開くと、そこには案の定榛名がいた。
阿部の首根っこを掴み、猫の子のように持ち上げている。

「あっ !こ、これは、別にっ! なんでもなくて!」
「んな焦んなって。どうせこのクソビッチに誘われたんだろ?」

眼光炯々鋭く貫かれ、興奮に火照った体が一気に冷えた花井とは対照的に、榛名は鷹揚に笑ってみせた。

「迷惑かけたみたいだな。ごめんな。よく叱っておくから」

もがく阿部を無理矢理立ち上がらせた榛名は、阿部の股のあいだに足を差し込んだ。
逞しい太ももに股間を割られ、阿部が密やかな声を上げた。

「タカヤのガッコの友達……、か? もう帰れ。今日で分かったと思うけど、コイツいいなと思った奴は誰彼食っちまう淫乱だから。今度から気をつけろよ」
「誰彼なんて、人聞きの悪いこと言わないでください。花井は特別です。コイツは高校の時からずっと狙ってた上物……」
「俺とお前は高校の時から付き合ってるよな?」

ぐいっと榛名は阿部を引き寄せた。勿論、太腿は足のあいだに入りこんだままである。
背だけでなく、腰の位置も高い榛名に引き寄せられ、阿部の体はほとんど榛名の太腿に乗りあげることとなった。

「んぅ……!」

自重に自身を潰され、阿部は鼻にかかった声を上げた。

「元、希さん……、痛ぃ」
「そっちの方がいいんだろ?」

ぐりぐりときつく嬲られ、身を震わせる阿部に花井は生唾を飲み込んだが、すぐにそんな場合ではないと思い直し玄関へ走った。

「花井」

逃げるように部屋を去る花井を、阿部が呼び止めた。
耳を貸してはいけないと思う。
しかし花井は破滅を知りながら炎に吸い寄せられる虫のように、振り返ってしまった。
声はなく、阿部は唇だけをはっきりと動かす。
「ま」続いて「た」。おそらく最後は「な」であろう。阿部の唇は榛名よって塞がれてしまったので、断定することはできないが。
榛名の服の袖を掴んでいた阿部の手が力無く垂れ下がるまでキスは続いた。
その間、榛名はずっと花井を睨んでいた。止せばいいのにと分かりながらも振り返った花井の内心に気づいたのだろう。

「見てくか?」

酸欠による一時的な気絶であろう。ぐったりとしだれる阿部を抱えて、榛名はにこやかに言う。
花井は慌てて首を振ったが、肝心の足が動いてくれない。

「タカヤ、起きろ。ったく、なんでオメーは俺だけじゃ満足できねぇんだろ」

動け! 動け! と躍起になる花井を特に気にした様子もなく、榛名は続きを始めた。
力の抜けた阿部の体を雑に揺さぶると、飲み込めず口内に溜まっていた涎が溢れ、顎を汚した。
上気した頬と相まって非常に扇情的だ。

「ここを潰しちまえばいいのか……。あ、意味ないか」

大きな掌に股間を掴まれ、阿部は飛び上がった。

「はっ……、あ?」

しかしまだ意識が朦朧としている。ぼんやりと左右に首を動かした阿部はどこか呆然と玄関に立つ花井に気づいた。

「なんでまだ花井が……」
「見学したいんだとよ」

「違う!」と花井は言いたかったがとても言える空気ではない。

「あ! だったら、三人で……、…………ひぅ!」

意識を戻してからは緩く弄ぶだけだった榛名の掌に再び力がこもった。

「それは俺だけじゃ不満ってことか?」
「いっ、あぁ! ……ちがっ」

体を捩り痛みに呻く阿部は苦し気に息を荒げる一方で、天井知らずの興奮に自身を硬くしている。
榛名の目。今日は特別怒ってる。

「言え。お前は誰のもんだ」

どんなことをされてしまうのだろう。阿部の目は期待に滲み、視界は狭まっていく。
嗜虐に燃える榛名の視線が一瞬だけ花井に向けられた。

「元希さん!もときさんだけっ……!」

そう叫んだ時、阿部はもう花井の存在などすっかり忘れていた。





リクエストありがとうございました!
そしてごめんなさい…


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