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■青天の霹靂
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 引継ぎもなしで、所長のやっていた仕事を一気に引き受けるのは結構大変だ。
 今まで見ていたとはいえ、分からない事だらけ。こうなって初めて、所長の有難味がよく分かる。
 しかも、所長の抜けたところの穴埋めで、休みなしで働く毎日。
 私、いつか会社に殺される。

 そんなある日。

「天神町振興会?」

『そう。今度の土曜日、午後九時から。場所は天神町公民館だ。わし、出席で出してるから、主任代わりに顔出してくれんかの。』

 という、所長からの電話が入ってきた。そんなものまで出なきゃならんのか。あんまり、訳のわからない集会には、出たくないんだけどな。

『出席だけして、食べるもん食べて、帰ってきたらいいから。頼んだぞ。』

 所長はそれだけ言って電話を切った。

 食べるもん食べて帰って来いって、一体なんの集まりなんだか。
 多分、天神町の店関係が集まるんだろうけど…。てことは、もしかしたら、商売敵もいるかもしれないってことか。




「あれ?川岸石油さん、いつもの西本所長さんは?」

 土曜日、午後九時。天神町の公民館に行くと、入り口にいたおじさんがそう言った。

「先日ちょっと入院しまして、私が代理をやってます。主任の青木です。」

 私はそう言って頭を下げる。

「まあまあ、そう硬くならずに。そんなたいした会合じゃないんだし。他にも初めて顔を出す奴だっているから大丈夫だよ。」

 そのおじさんは、ニコニコしながらそう言った。少しほっとしてきた所に、

「あのー。天神町振興会って、ここですよね。大和石油のもんですけど。」

 そう言って現れた奴がいる。私が声のした方向を睨むと、商売敵が驚いたようにこっちを見た。
 そうだ、天神町の振興会だから、大和石油も勿論入ってるわな。

 それから会合が開かれたわけだが、和気藹々としてる中、私と隣に座った商売敵だけが終始無言。
 すぐ近くにいる天神町のスタンド代表者の方たちも、気を使ってか、小さい声で話をしてる。

「えー、この不景気で、我々商業関係者も大打撃を受けています。でも、いつまでも底が続くわけではありません。そう信じて、精一杯頑張っていきましょう。」

 振興会会長なる人がそう言ってる。
 さて、本当に景気はよくなるのか?
 こんなにピリピリした毎日から脱出できるのか?
 
 天神町のスタンドがうちだけだったら、良かったんだけどな。
 
 私は隣にいる商売敵の顔を横目で見ながら、そう思った。


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あきゅろす。
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