■青天の霹靂
3
「主任―、昨日結婚式に行ってたんでしょー?いい男いましたー?」
次の日。
仕事に行くと正社員の村西花緒がにこにこと話しかけてきた。
花緒は入社して三年目の二一歳。四つ年上の彼氏がいて、その彼氏の話を私はいつも聞かされている。
つい先日も「私、恭ちゃんにプロポーズされたんですー。」というノロケを聞かされたばかり。
まぁ、そんな話をする花緒は本当に幸せそうで、私も悪い気はしない。
いつもにこにこしている花緒の元気の素は彼氏の恭ちゃんなんだし。
でも、今日はそんな花緒の一言で、気分は一気に急下降。
「新郎の友人に、大和の所長がいた。」
私が低い声でそう言うと、花緒は、
「えー?!大和って、もしかして天神町の?」
と、本当にびっくりしたように大声をあげた。
社長の意思は川岸の全社員、特に天神町の社員には深く浸透していて、花緒も例外ではなく、大和石油を嫌っている。
「それって、めちゃめちゃ敵じゃないですか。主任、まさかそんな人と仲良くなってないでしょうね。」
花緒はマジな顔して私に念を押してくる。
仲良くなったわけじゃない。同業者で盛り上がって、さぁこれからって時に素性が割れて、盛り下がったんだ。
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