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■青天の霹靂


 短大を卒業した20歳の春、私は就職した会社を一ヶ月で辞めた。
 未だに男尊女卑の強い会社で、女は雑用のみって感じ。そんなのはやってられない。
 そして改めて就職したのが今の会社、川岸石油。そう、ガソリンスタンドだ。
 
 入ってすぐの頃は客のおじさんに「大学生のバイトかい?」なんて聞かれる事もあったが、それから三年もたてば見合い話も舞いこんでくるようになり、そして現在。
「よく働く奥さんだねー。」
 なんて言われる事も。青木美恵子。二七歳、独身である。

 女がこの歳でスタンドで正社員してたらおかしいか?!独り身はいけないコトなのか?!と私は声を大にして言いたい。

 仕方がないのだ。二年前から天神町SSにて主任をやっている。所長の次の位。そうなってからは休みだろうがなんだろうが、容赦無く下の者から電話が入る。それどころか所長からも。
 天神町は全七店舗ある川岸石油で一番大きな店舗。社員、アルバイト総勢二三名を抱え、事実上、私がまとめ役。そんな毎日の中で、どうやったら出会いがあるんだ。

「所長も。明日は私、絶対空いてませんからね。気軽に電話しないで下さいよ。」

 私は所長に念を押す。うちの所長ももうじき定年。細かい事にはこだわらなくなっている。おかげで私の面倒が増えるんだ。

 明日は十年来の親友の結婚式。こんな日ぐらい休ましてもらわないと…。




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あきゅろす。
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