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ごめんね、と大好き 幸村



大好きだよって
無邪気に笑っていう君がいることを当たり前だと、思ってた




「ねぇね!さっき廊下歩いてたら柳くんにもらったんだ!」


「…なにそれ、」


「ふふー、幸村人形っ」


「…今すぐ捨てなよ」






あまりにも出来が良い自分にそっくりな人形を幸せそうに抱きしめながらいうなまえに呆れながら言ってみたけど無意味だったみたい





「やだよ!折角貴重なデータを提供してまで作ってもらったんだからっ」





ぷくーと頬っぺたを膨らませたなまえの頬を潰してみる
ていうか、貴重なデータってなに?





「ちょ、なんでそんなことするの!?」


「ん?気分かな」





なまえといると気を使わなくて楽だ
それに、なにをしても楽しい





「んじゃ、私今日は帰るね!」


「まだ授業あるよ、サボり?」


「ちがっ!用事があるんですぅー」


「そう、気をつけてね」


「…うん、バイバイ!」





そう行って帰ってまた明日には今日みたいになるんだって思ってた





「えーこの公式を使ってこの問題を解くように…」




次の日になっても
その次の日になってもなまえは来なかった

なんで?
なまえがいないことにイライラしてる
そんな俺に気づいたのか柳がこっちに来た





「幸村、」


「なに?」




イライラしながら返事をする
そんなの気にせず柳は言葉を続ける





「なまえが学校に来ない理由、知りたいか?」


「…別に」





本当は知りたい、けどそんなの俺からは言えない
こんなにも俺は素直じゃなかったっけ?





「転校するらしい」


「は、?」





予想にもしてなかった言葉に思わず顔を上げた





「さっき職員室でなまえが話してるのを…ふ、幸村も人の子だな」




柳の話を最後まで聞かずに走った
さっき職員室にいたならまだ近くにいるばす
そう思っていたら見慣れた後ろ姿



「なまえっ!」





腕を掴んでこっちに振り向かせたら目を大きく見開いたなまえと目があった





「びっくりしたぁ…どうしたの?」




いつものように変わらない笑顔で言うなまえに少し、イラッてした





「転校するって聞いた」


「あ、うん。親の都合でね!」





なんで、言わなかったの?
出そうになった言葉を飲み込んだ

俺がそんなこと言ってどうする?
なにも言わずにただ黙ってなまえの顔を見ていた





「あのね、幸村」


「なに?」





なまえは笑顔で俺をみる
次に言われる言葉なんてわかってるのに






「大好きだよっ」




ほら、ね
なのにいつものように返せない
言葉が、出てこない



気づいたらなまえは手を振りほどいて走り去って行った




ごめんね、と大好き
(今更言っても遅い、よね)

(本当は俺も言いたかった)

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あきゅろす。
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