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真っ白なノート


結局あれから高杉くんをあたしの部屋に寝かせて、みんなでお菓子食べたり遊んだりダラダラしてた。


真面目に勉強をしたのはあたしと土方くんと高杉くんくらいであとはみんな何しに来たの?って感じ。


時刻はもう6時になってそろそろみんなが帰り始めた頃。


高杉くんはいまだ爆睡中。普段はかっこいいのに寝顔はすごく可愛くてギャップがやばかった。


今日は坂田くんが異常に絡んできて無駄に疲れたから正直あたしも寝たくって。


最後までお菓子を食べ続けていた神楽を無理矢理その場から離す。


妙ちゃんに連れられて神楽は文句を言いながら帰って行った。


「じゃ俺らも帰るわ。今日はありがとな。」


『うん、どういたしまして!土方くん、約束忘れないでね?』


「おう、分かってるって。」


「あーあ、結局勉強してねェや。あのチャイナのせいでさァ。俺の菓子取りやがって…!」


『いやいや、それは自業自得ってやつなんじゃないかな?うん!』


「浅田さん、今日はどうもありがとう。」


『え?あ…山崎くん!うん、全然いいよ!』


「……今、俺の存在忘れてたよね?そうだよね?」


「浅田さん!ありがとな!ていうかもう美久って呼んじゃってい?いいよね?ね?!」


『遠慮しときますね。…じゃあみんな、気をつけて!』


「おう、サンキュー」


『それじゃまた明日っ!………じゃない!ちょっと待って!』


重大なことを忘れていた。忘れてはならないことを思っきし忘れていた。


……高杉くん、置いたままじゃないですか。


「あァ、高杉か。済まねェけどこのまま置いといてくれねェか?」


『…は?土方くん、なに言ってんの?』


「いいじゃねェか。浅田と高杉、仲いいみたいだし。」


『そういう問題じゃないでしょ。』


「じゃあどういう問題なんでィ?」


ニヤリとしながらそう言った沖田くんに何かを言えるわけがなく。


俯いて『何の問題ないです』としか言えなかった自分を情けなく思った。


じゃあよろしくな、なんて言葉を残してこの場を去って行ったみんな。


坂田くんが何やらグチグチ言っていたみたいだけど沖田くんがロケットパンチしたら止まった。


…どんまいだ、坂田氏!


とりあえず部屋に戻ってみると散らかったリビングが玄関から見えた。


ため息をつきながら自分の部屋にこっそり向かう。聞こえてくるのは静かな寝息。


高杉くんの顔を覗き込んでまじまじと見てみると本当に整った顔をしていて。


長いまつ毛だとかスッと通った鼻筋だとか半開きになってる口元だとか。


…うぅ!エロスを感じるっ…!さすが高杉くん!


なんてことを考えた自分の頭を一発殴った。最近、変態化してきてるあたしがいる。


とりあえずどうしようかと小さな脳を一生懸命悩ませた。


このままここに寝かせておくわけにもいかないし、かと言ってどうすればいいのか…


起こして帰ってもらうのがそりゃ一番なんだろうけど高杉くんは体調が悪いわけであって。


高杉くん家がどこなのかなんて知らない。けどここからは遠いってことだけ聞いた。


あぁ…やっぱ土方くんたちに無理矢理にでも連れて帰ってもらうべきだった…!


そっと高杉くんの横に座ってもう一度机に向かってみた。


あまり文字の書かれていない白いノートが広がっている。高杉くんのものだ。


ダメだと思いながらも好奇心が勝ってペラペラと中身を見てみた。


勉強してる陰なんか全くない。落書きだらけのノートだ。


ありきたりなミミズだとか先生の絵だとか…らしくないものが書いてあってついつい笑ってしまった。


パラパラとめくって最後のページを見る。


『…あれ?文字…?』


高杉くんが書いたのであろう少し乱雑なその文字。書かれていた言葉を見てついつい目を見開いた。


“好きだ”


たった一言、それだけ書いてあってノート。


高杉くんの顔を見て、慌てて元の場所へ戻しておいた。


…なんだ、高杉くんも好きな人いたんだ。


もう、頑張ったって意味なんかないんだ。



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