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乙女、青春を腐心せよ(腐女子連載 長編)
7
side日吉

突然現れた変な先輩、それが名前さんだった。

出会いは二学期が始まって2日目のお昼休み。跡部さんが彼女を無理矢理連れてきたのがきっかけだった。
その時俺も部室にいて見ていた。
彼女は跡部さんのことを知らなかったようで口説かれても眉一つ動かさなかった。更には忍足さんに迫られても頷くどころか股間を蹴り上げていた。
変な人だ。

翌日、クラスの掃除当番でゴミ捨てに行くと彼女がいた。見ていると目が合ったため会釈すると話しかけてきた。

「こんにちは。あの時いた人だよね?えーっと…」

「1年の日吉若です。」

「2年の苗字名前です。あ、亮の言ってた武術の得意な子って日吉くんだよね?」

「まあ、そうでしょうね。家が古武術の道場なんで。それがどうかしました?」

「いや、もし良ければアドバイスが欲しくて。これなんだけどね…」

ちょっと見てて、と言って彼女は俺から離れると飛び上がって空中で回りながら蹴り上げるような動きをした。
なんだこれは…。普通に出来る技じゃない…!
驚いて彼女に詰め寄る。

「な、なんですか今の…!人間わざじゃありませんよ!どうやってたんですか!?」

「え?いや、こう、飛び上がって…」

そう言ってもう一度実践されるが全くわからない。

「これ戦国BASARAっていうゲームで島左近っていうキャラがやってた親落としって技なんだ。でね、この動きの後はどっちの技にいった方がいいのかアドバイスが欲しいんだけど…。」

と言ってスマホを取り出して、動画を見せる。動画ではその島左近が技を披露しているが、凡そ人間に出来る技じゃない。
黙っている俺を怪訝に思ったのか少し考える素振りをしてからああ!と声を上げた。

「やっぱり刀がないとよくわかんないよね!ごめんね!日吉くん明日の放課後少し時間ある?刀持ってくるから、それで見て欲しいんだけど。」

そういうことじゃない。
刀があるかないかではないのだ。
この人ひょっとして凄い人なんじゃ…。

とりあえず自分には難しいので父親に聞いてみると言って動画を撮らせてもらった。

家に帰り父に動画を見せる。
父もありえないというような顔をして彼女について聞いてきた。彼女は最近転校してきた先輩だと言うと父はこの子は天才だ…と目を輝かせていた。
父を唸らせるとは何者なんだろうか彼女は。
(このあと戦国BASARAについて調べてしまった。彼らの技は皆真似できるようなものではなかった。)

翌日本当に刀を持って来た先輩に猿飛佐助の影踊を頼んだところ数回練習するうちに出来てしまった。本当にこの人は何者なんだ。

好きなゲームについて俺が調べたことが嬉しかったのか、友達に…と勧誘してきた。
先輩の武術に惚れた俺は喜んで受けた。
今度武術を教えてもらうことを約束して名前さんと別れた。

これからはあの先輩を師匠と尊敬することにしよう。

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