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乙女、青春を腐心せよ(腐女子連載 長編)
6
side鳳

最初に名前さんのことを知ったのは宍戸さんの話に出た時だった。


ある日の部活、妙に調子のよかった宍戸さんに何かあったのかと聞いたところ女友達が出来たと嬉しそうに言われた。
宍戸さんは俺と同じ位、いやそれ以上に女性が苦手だったはずだ。
話によると跡部さんのクラスの転校生らしい。宍戸さんの話ではさっぱりした性格の面白い女性に感じるが、宍戸さんが騙されている可能性もある。
俺は確認半分、期待半分でその苗字名前さんに会いに行く事にした。

姫城さんは会いに行くまでもなく見つかった。
俺が飲み物を買おうと自販機に行くといちごオレを買っている女性がいた。
先輩達曰く、姫城さんは薄い金の長い髪で、とんでもない美人だそうだ。
きっとこの人だろうと声を掛ける。

「あの、苗字名前先輩ですよね?」

「ん?」

「あ、すみません。俺鳳長太郎って言います。宍戸さん達の後輩です。」

「あらー、亮の。苗字名前です。はじめまして。何か御用?」

「はい。宍戸さんに先輩のお話を聞いてお会いしてみたくて。」

「マジか。え、変な話されてないよね?」

「えーと、昨日のお昼の話は聞きました。」

「あなやー!え、それってつまり私の錯乱ぶりとか忍足さんのくだりとかも聞いてるよね!?マズい、初対面の後輩くんに暴力ゴリラだと思われてしまうぞ!違うんだよ、鳳くん!あれはあのド変態野郎が悪くてね…。それにどうしてもそう思うならゴリラじゃなくてモスラにしてね!暴力モスラの方がなんかこう、響きがいい。」

そうマシンガントークをする先輩。
なんだろうこの人。
見た目と違って面白い。
普通の女の子ならモスラも嫌だと思うんだけど…。
それにあの忍足さんをド変態野郎って…。
こういうタイプの女性は今まで周りにいなかった。
確かにこの人なら宍戸さんも気に入るはずだ。

「大丈夫ですよ。先輩をそんな風には思いません。あの、よければ俺とも友達になって頂けませんか?」

「おお、私なんかでいいの?」

「はい。苗字先輩がいいんです。ダメでしょうか…?」

「いや、嬉しい!私友達あんまりいないから。これからよろしく頼むよ、長太郎くん!私のことは名前でいいから。」

「はい!名前さん!」

んんー!後輩可愛いーと言って何故か名前さんは飴をくれた。その後少し話して名前さんと別れた。
名前さんは俺にとって初めての女友達であり女性の先輩だ。
ニヤけそうな口元に貰った飴を突っ込んで教室に帰っていった。


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