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お前に溺れた俺の蜜
フォービドゥン
ずっと、無機質な心が欲しかった。
何度も自分の手首を傷つけて、そこから流れる紅い血を確かめた。
神の子だと、確信するに他ならない証。
こんなピアスよりも真実に近い証。


やっぱり俺は、常人なのですか?
常人でいなければならない?
どうせなら、紅い血じゃない方が良かった。
常人でいなければならないという鎖を外して、この想いを開放したいんだ。


気が付くと、ぼうっとしていた俺をルシィは困惑した表情で見つめていた。
そして泣き入りそうな表情の俺も、ルシィを見つめ返す。
初めてまともにルシィの瞳の奥を見た。
吸い込まれそうな青い瞳だ。
あの日の、雲一つない真っ青な空に似ていた。


「あのね…」


ルシィの表情がさらに曇る。
何かを言いかけた唇は、微かに震えていた。
俺はベッドの上で、ルシィとは反対の方向に体を半回転させる。
「やっぱり、なんでもない…」


消え入りそうな想いを、誰もが押し殺しているんだ。
きっと。
誰もが。


実の兄と妹。
血の繋がった兄と妹。
現実は、いつも儚くそこに存在しているんだ。
俺らは互いの気持ちや距離を少しずつ埋めることさえ許されない。
一歩でも近づいたら…一歩でも離れてしまったら…
曖昧なバランスを保ちながら、俺らは何かに嘘をつきながら。


本当に神様がいるなら、俺の気持ちは見透かされているんだろ?
首に繋がれたチェーンを外してくれ。
どうか自由にさせてくれ。


俺は、こんな村で育ったけど、一度もあんたを尊んだことは無いよ?
だっていつかは俺の大切な人を、
あんたは簡単に無残に奪っていくんだから。
それが神の特権なら、俺にも特権あったっていいだろ…?


「…ルシィ」
長い髪の少女は俺が何か言うのを期待していたらしく、
背中に刺さる視線が少し痛かった。


「ここから逃げよう」


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