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お前に溺れた俺の蜜
フォービドゥン
「三角に折った後は、こうやって…、こう…。わかった?」


春のまだ肌寒い晴天の下、俺は紙飛行機を作っていた。
川べりの緑の芝生に寝そべりながら。
真っ白な紙を、隣にいるルシィの為にゆっくりと折っていく。


「お兄ちゃん、もっかい。わかんないよ」
無邪気な笑みを浮かべて、ルシィは俺にしわくちゃになった紙を押し付けてくる。
ルシィは俺の妹だ。
作り方を教えているのに、全然覚えようとしない。
俺の方をまじまじと見るばかりだ。


俺を見るその瞳を見つめ返すことは出来ないんだ…。
見つめられたら最後、俺はどうしたらいいのか解からなくなる。


おぼつかない指先を、それでも何とか動かして、
俺はやっとのことで紙飛行機を作り終える。
そして真っ青な空に、思いっきり飛ばした。


ふわふわ
ふわふわ


しわくちゃの紙飛行機は、まるで白い雛鳥のように
只、高く高く
雲一つない空を自由に舞っていた。


「独りだね…」


ルシィはそう言うと、寝そべった態勢を起こして、駆け出して行った。
青い空の中を飛び続ける鳥は孤独に宙を舞う。


駆け出して行ったルシィを追いかけて、俺も土手の方へと走った。
芝生が湿っているせいなのか、
俺の心が落ち着かないせいなのか、
地面に足をつける度に、俺までもがあの紙飛行機のように、
ふわふわとなって、まともに走らせてくれない。


雲の上を歩くような感触。


土手の上まで来て、ルシィの姿を確認する。
ルシィは俺を「遅い」とでも言うかの如く、数メートル離れた所からこちらを見ていた。


「早くー!」と叫んで手を振っている。


ふと、俺は後方を振り返った。
ふわふわと飛び続けていた鳥が、緩やかに弧を描いて川に落ちた。
孤独であった雛鳥が、親の元へ帰るかのように。

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