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お前に溺れた俺の蜜
PELSONA
朝の光は眩しい。
黙っては居られない。
僕は走った。
あの時のような、綺麗な花は一つも無いこの地を。
ゼエゼエ言いながら、ひたすら走る。
涙が出ない。
涙が出ない。

先程、君が居た場所に、僕は来た。
君に、会えるような気がした。

昨日の夜から、こうなる事は予想がついていた。
ペルソナ・・・・・・あの仮面を被るという事は、死を意味する。敵軍への生贄として人を捧げる。
一度はめればもうとれはしない。敵軍に顔を知られない為の、昔から使ってきた方法。
その儀式は、まさに、生贄の儀式。

だから、僕は、決心していた。

どうせ変えられない未来が有るのだ、それなら、僕が・・・・・・。

ぼうっとして居た僕の前に、突然君が現れた。
君は僕の顔を覗き込んで居た。

もう、会えないかも知れなかった。そう思うと、君が愛しくてたまらなかった。

「ペルソナは、あなたがはめるの?」

君は、少しも怖がる素振りを見せず、僕にそう言った。
僕は頷いた。声が出なかった。
今、声に出して何かを言ってしまったら、とんでもない事を言いそうだ。

「そう」と、君は言った。多分、その後に続く言葉はこうだ。
「私は平気だから、気にしないで。」
しかし、君は、そんな事は言わなかった。全く予想外の言葉を発した。

「青い空の上では、戦争をするのかしら。だったら私は地獄の方がいい・・・・・・」

君は、耐えがたい運命をその背中に乗せて、
両腕には、抱えきれない程の未来を抱き、前へ、上へ、飛び立とうとして居た。
そんな君に、言葉の一つも言ってあげられない自分が、嫌だった。

モウスグ、君ハ死ヌトイウノニ・・・・・・

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