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Dear heart
体温までの距離 17





あの日、自分を突き放しておきながら、随分と都合がいい。

それでも、色々と複雑な事情を抱えながら、辛かったのかもしれないと思うと、なんとなく日比野に同情してしまう。

緒方は戸惑いながらも、日比野に応えた。

「──あげる」

緒方が応えると、日比野は動揺したように緒方を見つめた。
驚きで反応できないでいる日比野に、緒方は誘いをかける。

「なに?いまさら……」

緒方は立ち上がって、身動き出来ずにいる日比野に向かった。
テーブルを横切って、日比野の脇で両膝をついてから、そのまま肩を抱きしめた。

「久しぶりだ……。おまえちょっとデカくなった?」

照れ隠しもあって、そんなふうに平然と装う緒方は、その実、緊張して動悸に胸を揺さぶられていた。

普通、こんな事はしないと思う。
何だかいけない事をしているのではないかといった後ろめたさがあって、それを必死に、友情や憐情といった概念で打ち消そうとしていた。

「緒方……」

やがて、抱きつく緒方の身体を抱き返した日比野は、勢い余ってそのまま緒方と共に床に倒れ込んだ。

柔らかな長い毛足のセンターラグに押し倒された緒方の身体は、日比野の厚く広い胸に抱かれて、例えようのない心地好さに包まれた。




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