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Dear heart
体温までの距離 6





「なに?」

日比野が意味ありげな笑いに気付く。

「いや……。相変わらずカッコイイなって思ってさ」

緒方の、敗けを認めたような苦笑いにつられて、日比野も笑った。

「おまえも相変わらずキレイだぞ」

「そんなの、野郎への褒め言葉じゃないよ」

日比野と並ぶと、自分の優形な顔立ちが嫌でも強調されてしまう。
あの頃はコンプレックスだったそんな古傷まで、今では何だか懐かしい。

「──でも、モテるだろ?」

「全然」

諦めたような表情で応える緒方は、煙草に火をつけた。

仕事が忙しくて、学生時代から付き合っていた彼女から三行半を叩き付けられてから、未だにそんな相手も見つけられないでいる。

「結婚は?」

日比野が続けて訊ねる。

緒方はビールを飲み干して、テーブルに不満を叩き付けるようにジョッキを置いた。




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