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Dear heart
めぐりあい 2





サイレンが、ビルの谷間に響きながら近付いて来た。
やがて、すぐ前までやって来た音量がピタリと止まり、緊急な来訪者の到着を予感させる。

正面の自動ドアが左右に別れて、ストレッチャーを押した救急隊員が入って来た。

緒方が救急隊員を誘導し、救急外来の処置室にストレッチャーを回すと、そこに待機していた看護師が迎え入れた。

「おつかれさまです。こちらへお願いします」

担当は看護師12年目のベテラン、内科外来の市村だった。

「患者さんのカルテです」

「ありがとう」

外来カルテを渡すと、彼女は聡明な笑顔で返してから、処置室に入って行った。

こんな場面でも,さすがは市村だと感心する。

緊急の患者を受け入れていながら、この落ち着きは若い看護師には真似できない。
理論的に整理された豊富な経験は、医師からも頼りにされている彼女の力量の深さを作り上げている。

緒方は、彼女が夜勤である夜は、安心して当直に就く事が出来た。

「緒方くん」

処置室から市村が呼ぶ。

室内を覗くと、救急隊員の差し出す書類に受け入れサインをしながら、彼女は次の仕事を依頼してきた。

「先刻の外線、受診依頼だったの。カウンターにメモがあるでしょう?患者コードを控えているからカルテお願い」

救急隊からの受け入れ要請があった少し前に、事務室に入った外線を市村に繋いでいた。

緒方は、救急処置室の手前にある受付カウンターの上に、メモ用紙を見つけた。

「これですね……。笹川さんでしたよね?」

患者名を確認すると、救急処置室から市村が応えた。

「そう。……あと20分くらいで着くから」

緒方に応えた後、救急隊員に労いの言葉を返す市村の声がする。

「すぐに持って来ます」

処置室の開かれたドア越しに声をかけてから、緒方は事務室に戻って行った。




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あきゅろす。
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