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Dear heart
友情の限界 愛情の証明 4



徐々に慣らされて、繰り返される抽挿は、これまでの行為とはまた違った興奮をもたらしてくる。
それは、今まで経験してきた行為とは比べるべくもない。

抱かれる事の意味を知ってしまった今、これがどんなに淫らで官能的な行為かと思うと、羞恥と快楽で自分の中の理屈の全てが崩れてしまうような予感がする。
日比野から与えられる快楽に溺れ、何も考えずにただ淫欲を貪るだけの中毒患者のような存在になってしまいそうで、危機感さえ覚える。

これが日比野の言っていた『壊れてしまえ』という事なのかと、緒方はやっと理解したような気がした。

「──やべぇ……」

緒方の上にいる日比野が、喘ぎの合間に呟きを洩らした。

「すげ……気持ちいい」

快感に追い立てられて陶然とした表情が、緒方をさらに熱くさせた。

「なんか、あんまり……持ちそうもない」

もっと乱して、もっと善がらせて、何もかもがどうでもいいと思えるほど愛してやりたかったのに、自分の方が先に参ってしまいそうになる。
緒方の熱い体内は、そこに挿入っているだけで心地好くて。規則的な力強い鼓動に直接触れて、少しの刺激でも痺れるような快感に追い詰められる。

「こんな良いカオして……。ここも、中も。おまえの身体…………すげぇ」

緒方の全てに官能を刺激されて、日比野はどうにも堪えきれなくなる。

「おまえが………したくせに」

悦びに咽びながら、緒方が返した。

貫かれて、扱かれて、グシャグシャにされて善がってる自分は、信じたくないほど淫らに日比野を誘っている。
そんな事くらいちゃんと自覚している。
日比野に抱かれて乱されるのがこんなに興奮するのも、自分が日比野を欲しがっているからだと認める。
この感情が、異性に向くべき恋愛感情と何ら違わないのだと、今なら分かる。

「気持ちいい………。おまえが動く度に………」

吐息に混じる呟きが、喘ぎに掻き消されそうになりながらも、その想いを日比野に伝えた。

自分が日比野に壊されてゆくのが分かる。
骨抜きにされて、日比野の熱が無いとボロボロになってしまいそうな、安心感と背中合わせの不安がある。

日比野を失って、覇気の無い日常を送ってきた。
ふたりが離れた事によって、初めて互いの存在を意識して、どれだけ互いを必要としていたかを知ってしまった。

出会うのがもう少し遅かったら、またはもう少し早かったとしても、ふたりはこんな幸福な時を得ることが出来なかったかもしれない。
絶妙なタイミングがふたりの境界線を取り除いて、融け合うような関係を可能にした。
この、運命の計らいに感謝さえ覚える。

緒方は、揺れる日比野の肩を見つめながら、熱に浮かされた頭で多幸感に陶酔していた。

そっと重ねてくる手のひらの熱が、日比野の優しさを伝えてくる。
何度も戦慄く身体の熱が、奥に籠って抜けずに蓄積してゆく。
胸元に固く立ち上がった小さな快楽の種を舐ぶられて、緒方は堪えきれずに甘い喘ぎで応えた。

日比野が触れてくるところの全てが快楽に繋がって、緒方は許容を越えた疼きに焦れて、全身を震わせる。

「も……勘弁して……」

喘ぎながら扇情的な表情を向けて、緒方は日比野を見つめた。

「気持ちよすぎて……辛いよ……日比野」

「なんだそりゃ……」

緒方の顔を覗き込んで、日比野は苦笑いを浮かべた。それでも、腰の動きを止めようとはしない。

「俺……イクっての解った。もう……頭イッちゃってる」

日比野の手をきつく握り返して、緒方は譫言のように呟いた。

「なのに……イケない。イキたいのにイカない」

焦らされるだけの強烈な疼きに堪えかねて、色めく欲が悲鳴を上げる。

「──イキたいよ日比野ぉ。俺…壊れちゃうよぉ……。早く……なんとかしてくれよ……」

懇願する卑猥な言葉の羅列は、日比野をさらに煽って追い詰めた。

「──かやろう。んなコト言われたら、俺がイッちまう…っつの」

ともすると緒方よりも辛い日比野が、競り上がる快感に耐えていたのに、淫らな様で煽ってくる自覚のない緒方に直撃されて、暴発しそうになる。

「日比野ぉ……」

「ああ……もうっっ!」

初心者にセルフでイけとは言えず。また、そんなこともさせたくなかった日比野は、繋いでいた手を離してふたたび緒方の屹立を刺激した。

「あっっ!!……いい!日比野」

潤滑剤を馴染ませて、上下する日比野の右手に導かれて、緒方はたちまち上り詰めた。

身体が融け合うような一体感が、ふたりを暖かく包み込む。
それなのに、焦れったい衝動に突き上げられて、やがてふたりの背筋を、寂寞感を伴う快感が同時に貫いた。

中で熱く脈動する日比野が拍出する。その圧に刺激を受けて、緒方の唇から一際切ない声が洩れた。



緒方は、日比野に導かれるまま、身体の奥に澱んでいた全ての想いを解放した。



それは白濁した雫となって、ふたりの隙間を埋めるように互いの身体を温かく満たしていた。




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あきゅろす。
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