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ホスピタル(伊武)
ERとはつまり関所のような場所だった。
カウンティに来た患者はまず万能な神たるERのお医者様様に体を弄繰り回されて、血を採られて機械の中に入って本人ですら見たことのない肌の下を盗み見られるんだ。そして、様々な課に押し付けられる。

「酷い言い方ね」

俺の目の前にいる女医?看護士?は、困ったようにはにかんでいる。見たところアジア系のなかなかの美形だ。黒髪の裾がほんのりはねていて、猫っけらしく柔らかそうな髪質だ。早口で言い募った日本語を理解している辺り、日本人なのかもしれない。

「外れてる?」

「当たらずとも遠からず。」

笑った時に釣り目を細めるのは彼女の癖なのかな。
名前を知りたい、と胸元を見たけれど、日本みたいに名札を付けていなかった。IDぐらい付けないといけないんじゃないか?

「Japanese?」

彼女の隣、僕の頭の上から声が聞こえた。
若い男の声だ。そういえばさっき、カーターとかいってた気がする。この程度の英語ならなんとか理解できた。

「そのようね。」

「名前、名前を聞いて。さっきから答えてくれないんだ。」

「言葉がわからなかったのよ。さっさと私かヨシを呼べばよかったのに。」

彼女は実に英語が堪能だ。
正直、俺にはあまり理解できない。yoshiとかいったのは日本人の名前な気がした。

「ねぇ、あなた。お名前は?」

「・・・ンジ。」

「ん?」

「シンジ。」

「そう、シンジ。良い名前ね。シンジ、あなたは事故にあったの。覚えてる?」

それから幾つか簡単な質問と報告をされた。俺の年齢、ここはどこなのか。俺はたくさんの検査をしなければならないらしいこと。
面倒くさいなぁ、ちょっと手を捻っただけなのに。さっき言った通りだとぼやくと「そうね」と笑う顔はなんだか懐かしさを感じた。

「ねえ」

「なに、シンジ。」

「名前ってどういう字を書くわけ?さよならする前に教えてくれてもいいと思うんだけど。」

「私の名前?」

「そう」

彼女は三度笑ってくれた。
目を細める仕草、どこかで見た。またデジャブ。

「名前はこう…、苗字は──そうね、大岡越前って知ってる?」











それはこの世の中で一番聞きたくない名前な気がした。
思いっきり顔を顰めて見せたら、彼女はまた笑った。

「リョーマのお友達の深司くん、で当たってる?」

アメリカへようこそ、伊武深司くん!

お噂はかねがね、と彼女は言った。






*まさかのER混合夢・・・っ知らない方すみません。でも是非興味持ってください← 

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あきゅろす。
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