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天使




「サン!いねぇのか?」



遠くで、俺を呼ぶ声がした。
きっと、いつまでたっても出てこない俺を探しに来たのだろう。



「ライト!ここ!」


俺は木から飛び降りてライトの前に立った。
ライトは酷く驚いたような顔をしたあと、ため息をつく。


「たく、どれだけ探したと思ってんだよ。」

「あはは、ごめんごめん。でもそんなに探してないでしょ?」


笑いながらそう言うと「まあな」と返ってきた。


「俺に用事があったんじゃないの?」

「ああ、大天使様が呼んでるぞ」

「うっそ」


大天使―それは俺ら天界に住んでいるやつらの頂点に立つ人。
天使にも人間たちみたい階級はある。

一番上は言ったように大天使様。

二番目が準天使。


そして一番下が俺たち天使。


俺たちにも仕事はある。
人間たちの監視や大気の動かし。


天使は平等でなくちゃならない。
誰か一人を贔屓するのは悪魔のすることと一緒なのだ。


その時の俺はそれをわかっていた。








ハズなのに。







「めんどくさいなーまたお説教かな?」

「馬鹿。怒られんぞ」


そんな会話をしながら大天使様達のところへと向かっていた。




ズボッ






「へ?」


「!サン!」




気づいたら俺は穴の中に落ちていた。


そういえば最近人間界へと続く穴があいている―
とか言ってたな。



そんなことを思い出しながら俺は焦ったように手を伸ばすライトの手を











掴むことができなかった。


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あきゅろす。
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