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夢じゃないよ
落下してきた鉄柱が皐月を貫いて突き刺さった。
辺りにはつんざく悲鳴が聞こえる。
僕は目の前で起こったことを、受け入れないでいた。
どこからともなく風鈴の音が木々の隙間で空回りしているように聞こえた。
「これも、夢…?」
僕は今起こっている出来事が現実で起こっているのか夢の中で起こっていることなのかわからなくなった。
『夢じゃないよ』
聞こえてきたのは、態とらしいカゲロウの声。
その声はどこか笑いを帯びているようにも聞こえた。
「っ!」
くらんでゆく視界。
ああ、目が覚めるのか。
安心して意識を預けようという時に映ったのは皐月の横顔。
皐月の横顔はもうぼやけて見えなかったが、それは笑ってるような気がした。
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