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上を見上げ



そのまま僕らは他愛ない会話をしながら足をすすめる。
だが、先ほどの雰囲気が残っているせいか、会話も長続きはしなかった。

道を抜けた時に後ろから皐月の声が聞こえた。



「夕陽…」

「ん?」


小さな小さな声で呼ばれる。








「あんがとね」






「え…」






「きゃあああ!」


「うっそ!危なくない?!」



どうしていきなりそういったのかはわからなかったが、突如聞こえてきた悲鳴に意識をそちらに傾けた。

周りの人は皆上を見上げ口を開けていた。


「?…」

自然と僕も上を見上げようとするが、それは皐月が僕の横を通り過ぎることによって叶わなかった。


「さつ…」










ぐさ



危ない、と誰かがいったのが聞こえた。




「え…」



目の前で起こっているのはなんだ。


頬に伝わる生暖かい感触は?


皐月が倒れているのはなんで?




なんで…なんで…




「皐月…?」




皐月の背中に鉄柱が突き刺さっているの?



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