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赤い少年とともに他の異世界人を探していて、わかったことは2つ。
まず一つ目。
アキラの隣を歩くこの赤い少年の名前である。
真田源次郎幸村。それが、少年の名前らしい。
確かに真田家の家紋である六銭文を持ってはいるが、正直信じられなかった。
真田源次郎幸村といえば、戦国武将の名である。
智将としても、武将としても彼の名前は有名だった。
しかし、幸村は、どう見ても智将には見えない。
(それに、素肌にジャケットの戦国武将なんていないだろ。)
そうは思ったが、見るからに素直そうな幸村が嘘をつくとは思えなくて、それが事実なのだろうと納得した。
次にわかったことは、異世界人の人数である。
この世界に落とされたのは、全部で8人。
こちらに来る前、彼らは別々の処にいたのだが、気づいたら全員森の中にいたらしい。
(俺の時とは違い、随分待遇がいいような気がするのは気のせいだろうか。)
ちなみにアキラは、空から真っ逆さまに落ちた。
シグルドから聞いた話では、その時雷が落ちたり、カラスが飛び交ったり、黒猫が横切ったりしたらしいが。
そこまで考えて、キョロキョロとあたりを見渡しながら歩く幸村を見る。
今回は、そう行った前兆が何もなかったのだ。
今まで、アダムの息子が訪れる時は何かしらの前兆があったと文献に残されていた。
それこそ、先ほど上げたようなことがである。
(一体、何が起きている・・・)
「晃殿?如何なされた?」
ジッと見すぎていたのだろう。
アキラの視線に気づいた幸村が首を傾げる。
「いや、なんでもないよ。・・・それより、あれは君の仲間じゃないか?」
それに、苦笑しながら答えて前を向くと派手な集団が目に入った。
色鮮やかなその集団に、もしかしてと思いながら幸村に伝える。
その言葉に、幸村がはっとしてそちらへと視線をむけた。
「佐助!!」
あの集団のなかの誰かの名前だろう。
そう叫んで、幸村は色鮮やかな集団の元へと走って行った。
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