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これらの書類は、元々貴族連中がやらなければならないものである。


それが、なぜアキラの元に送られてくるのかというと、陛下に気に入られているアキラのことが気に入らないからだ。


「ということで、お前はとっとと帰って寝ろ!!」


「アキラ、疲れてる。早く寝る。」


「イヴァン!?ルツ!?」


そう言って、現れた二人に強制的に部屋から追い出された。


あれから、暫く粘ってはみたものの、結果は変わらず。

アキラは、望まないまま休暇を手に入れたという訳である。










カサカサッ



思考を飛ばしていたアキラは、その音にはっとして腰にある剣に手を伸ばした。

音がした先にあるのは森と草むらだけである。


この時間帯に、森に近づく者は少ない。

力のないものが、逢魔が時に森に足を踏み入れればどうなるか、わかっているからである。


(動物か、それとも魔物か・・・。他国からのスパイという可能性もあるが)


「ここは、何処でござるか?」


「!?」


姿を現したのは、想像していたどれにも当てはまらないものだった。


動物でも魔物でも、ましてや他国からのスパイでもないその人物の姿に。


否、その人物が発した言葉に、アキラはひどく動揺していた。



彼が発したのは、懐かしい母国の言葉。


この世界に落とされて以来、決して耳にすることのなかった地球の・・・日本の言葉。


(な、なんで・・・ここで。この世界で――――!!)


しかし、そんな動揺も草むらから現れた赤色の影と目があったことでなくなった。


警戒しながらこちらをジッと見つめる彼に、そっと声をかける。


「・・・大丈夫か?」


その言葉に、赤い少年はビクッと肩を揺らした。


キョロキョロとあたりを見渡し、意を決したように、口を開く。


「あ、あの・・・少々お聞きしたいことがあるのですが。」


「ああ。」


できるだけ、安心させるようにそう頷く。


「此処は、何処でござろうか?」


(・・・やはり、異世界人か)


内心でそう確信しながら、アキラは質問の答えを口にした。


それが、どれだけ少年を不安に陥れるかわかっていて・・・。


「ここは、ストラナー大陸にあるエリダラーダ国だ。」





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あきゅろす。
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