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異世界


アキラが部屋から出て行った後、異世界人達は互いの顔を見合せながら盛大なため息をついた。

普段なら、顔を突き合わせて話すことなど無いに等しいメンバーである。


北は奥州から、南は瀬戸内まで。
見事に、バラバラのメンバーが揃っている。


最初に口を開いたのは、三日月の兜をかぶった青年。
名を伊達政宗という。


「おい、真田幸村。あの男、どんな人間だ?」


「どう、とは?」


政宗の言葉の真意が計りきれず、幸村は困惑気に首を傾げた。


そんな彼を、手助けするように隣に座っている迷彩柄の青年―猿飛佐助―が口を開く。


「旦那は、少なくても俺たちよりあの男のこと知ってるわけじゃん。
それで、あの男は信用に足る人物なのかって、竜の旦那は聞いてるんだよ。」


「晃殿のことは、信用していいと思うぞ。」


「なんで、そう思った?」


佐助の問いかけに、即答する幸村。

そんな彼に、疑問の声があがった。


出会って、数分しかたってない。
それなのに、なぜそう断言できるのかそう思ったのだ。


「理由などないでないでござる。ただ、そう思ったのだ。」


「・・・ふざけておるのか、貴様。」


しかし、返ってきたのはいまいち的を得ないものだった。

それに、今まで黙っていた全身緑の青年―毛利元就―の眉間にしわが寄る。


「まぁまぁ、落ち着けって毛利」


今にも切れそうな元就を宥めたのは、左に眼帯をつけた銀髪の青年。

長曾我部元親という名の彼は、口許に笑みを浮かべた。


「俺も、あの兄ちゃんに敵意はねぇと思うぜ。」


「なぜだ?」


「見た所、兄ちゃんはあの森に化け物がでることを知っていたみたいだ。
俺らを殺すつもりなら、真田について来なけりゃいいだけだし、あの時、自分だけ逃げりゃぁ良かった。」


元親の言葉に、静まりかえる一同。

その沈黙を破ったのは、人懐こい笑みを浮かべているポニーテールの青年―前田慶次―である。


「ま、どっちにしろ。ここには、頼れる人間があの人以外いないだからさ。
世話になっといた方がいいと思うけどな。」


「それも、そうだな。」


慶次の提案に、最初に乗ったのは政宗だった。
口許に笑みを浮かべ、楽しげな表情を浮かべる。


「政宗様!?」


そんな彼の名を咎めるように叫んだのは、このメンツの中では一番年上であろう強面の青年。


「どうした、小十郎。」


「そんな簡単に信用してよろしいのですか?」


心配気な表情で問う己の重臣、片倉小十郎に政宗がにやりと獣のような笑みを浮かべた。


「まだ信用しねぇよ。危険だと判断したら、斬るだけだ。」


口に出さずとも、此処にいる幸村以外がそう思っているだろう。


彼らは皆、名のある戦国武将と忍である。

そんな簡単に見知らぬ人間を信用することなどできやしない。




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