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日常01



OSHITARI SIDE

どんどん小さくなる奏の背中を見ながら、一人残された忍足侑士はため息をついた。


彼女との出会いは2年前。

高校の入学式の日だった。


「オイラ、二階堂奏。出身は京都で、好きな物は甘いもの。特技は剣道で、えーと・・・まぁ、何か他に個人的に知りたいことあったら聴きに来てや。とりあえず1年間よろしゅうな」


クラスで行われた自己紹介。

そう言って笑った奏に、一体何人のクラスメイトが惹かれただろうか。


最初に話しかけたのは忍足が最初だった。


「ハジメマシテ、ワイ、忍足侑士いうんや。よろくしくな。」


たまたま隣の席だったこともあり、休み時間になった瞬間そう声をかけた。


大抵の女子は、忍足が少し笑ってそう言うと皆、頬を染めあげる。


しかし、目の前の少女は違った。

奏は、忍足の言葉に少しも照れるそぶりを見せず笑ったのだ。


「忍足、な。自分も、関西出身なん?東京で関西弁なんか聞けへんて思てたさかい、なんかうれしいわぁ」


その言葉に、キョトンとして忍足も笑みを浮かべる。


「そやな。この学校で関西出身はワイだけやさかい、わからんことあったら気軽に聞いてや。」


その日から、よくしゃべるようになって気が付いたら一緒にいるようになっていた。


普通忍足と一緒にいる女子はファンクラブに目を付けられるのであるが、奏の場合は違う。


彼女はいつしか、男ものの制服を着込んでくるようになっていた。

聞いた話では、クラスの担任教師に頼まれたかららしいのだが・・・。


男子の制服を着ている奏はそこらの男より恰好よくて己と同じよういファンクラブが結成されている。


出会った時のことを思い出して、忍足は笑みを浮かべた。


「最初の頃はただの興味やったはずなんやけどな・・・」


そう呟いて彼はようやく教室へと歩を進めた。


OSHITARI SIDE END











「遅刻だぞ、忍足。もう少し早く来いよな」


ガラリと扉を開けた瞬間、担任に言われた言葉に忍足は苦笑いを浮かべて己の席へと向かった。


隣で笑いをかみ殺している奏を恨ましげに睨みつける。


「・・・何笑っとるん。半分は自分のせいやで」


「ククッ。オイラのせいにしないでほしいわ。遅刻したんは、自分一人の責任や」


ニッと笑う奏と、呆れた表情をつくる忍足。


「ワイのことおいて、一人で行ってもたくせによく言う」


「ハッ。侑士の足が遅いんが悪いんとちゃうん?」


「二階から飛び降りてピンピンしとる奴と比べられとうないわ」


「おい、そこの関西コンビ。少し静かにしてろ!!」


小声ならまだしも、普通の大きさで言い合う二人に担任が口をはさむ。


周りの生徒は、楽しそうに笑っていた。


「坂もッちゃん、ゴメンて。静かにするさかい、許したってぇな。」


手を前で合わせて謝罪する奏に、坂もッちゃんもとい担任の坂本は大きなため息をつくのだった。


これが、3年2組の朝の光景である。





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あきゅろす。
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