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それからどれくらい、机に向かって真っ白な紙に言葉を綴っていたんだろう。


長い時間を費やし、やっと、やっと。



「書けたぁ……」



言った瞬間、精神的な疲労感が体中に浸み込んできた。

その疲労から逃げるように椅子の背もたれに身を任せ項垂れながら、書き終えた用紙を持ち上げた。






―――藍河へ
手紙という手段でしか気持ちを伝えられない俺を許してくれ。

たぶん藍河は俺に対して誤解を持っていると思う。
俺は恋愛感情で、ひとりの男として、藍河学に惚れている。
惚れているからこそ、藍河を信じてきたんだ。

藍河は二年、側に居ながら俺のことを全く知らないと思うよ。
俺の好きな物とか、過去とか、色々。
そして、俺も知らないんだ。藍河の好きな物とか、過去とか。
だから今更だけど、俺の話に付き合ってもらいたい。

俺は藍河と一緒にいてすごく楽しかった。嬉しかった。嫉妬だってした。
藍河と出会って俺はいろんな感情を知れたんだ。
俺の表情が無感情に見えたのは昔、身を持って感情を顕にしてはいけないことを学んだから。
詳しいことをあまり言えないことは謝る。
でも、少なからず俺は変われたよ。
藍河のおかげで。

だから、誤解されたままでは嫌だと思ったんだ。
今まで、諦めてきたけど。
どんなに誤解されても、偏見を持たれても、気にしてないように見せてきたけど、
藍河に誤解されるのは嫌なんだ。

だから言わせてください。
俺は、藍河が好きだよ。
藍河が俺を好きでなくても、いつまでも好きだよ。

今まで本当にありがとう。

高梁幸峰―――









「……女々しいな」




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