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贈する想いは
食しますれば。

疲れが溜まれば。
寝不足なれば。
夜になれば。

毎日の激務。

直接的な肉体労働では無い。
だが、頭を酷使する事も疲弊する。

連日の重なる疲労。

これで何日目だったか。
科学班・1班のおかしなテンションが室内蔓延して行く。
まるで感染症のように侵食していた。


「俺さぁ、最近朝勃ちしねぇんだよなぁ」
「歳だからだろ?」
「疲れ…って事にしてやれよ」
「そういやぁ、昔と比べて飛びも悪いよなぁ」
「俺も。歳を取ると尿の出が悪くなるってよ」
「やっぱ勃たないのは嫌じゃね?」
「男だしな。やっぱ朝勃たないのは寂しいよな」
「ちょ…、何の話をしているんですかっ」
「お、アレン」

真夜中ではあったが、帰還した足で科学班を覗いてみた。
昼夜を問わず誰かしら働いているから。
今回団服を破損した為に新たに取りに来てみれば…。
科学とは無関係な事をわやわやと話していた。

「いや、朝勃たねぇなぁ、ってさ」
「アレンにゃ解らねぇよ」
「ヤりたい盛か?」
「俺ヤるより寝てぇ…」
「確かに。だから枯れてくんだよ」
「なぁ、アレンは勃つか?」
「は?も、何の話ですかっ」
「朝勃ちの話しぃ」
「あぁ、勃たないまま役立たずに…」
「うわぁ!言うなよっ」
「で、アレンはどんだけ勃つんだ?」

明らかにおかしな話におかしな流れ。
何故こんな事を聞かれなければならぬのか。
自分は団服を貰いに来ただけなのに。
明日にすれば良かった…と、思うが後の祭り。

「なぁ、どうしてんの?」
「朝勃ちのままヤるのもいいなぁ」
「自分でヤっても気持ち好いしな」
「若いから1回じゃ足りねぇとか?」
「アレンはどうしてんだよ?」

も、帰りたい…と、本気で思うもいつの間にやら囲まれて。
椅子に座らされ、ぐぅるり、と、輪が出来て。
珈琲や紅茶に摘む物が出されて小休止な休憩モード。

「こんにゃくに突っ込むとかあったよな?」
「こんにゃく?俺、ドーナツなら知ってるぞ」
「最近流行ってる中がクリームだけなロールケーキあるじゃん?」
「何、それに突っ込むのかよ」
「…食べ物に罰当たりな。食べ物が可哀相だ」

確かに自分も今戻ったばかりで疲れている。
端から見れば多少言動のおかしな部分はあるかも知れない。
が、まだ冷静…と、言うか、この中には混じりたくない。

「彼女欲しいよ」
「俺、彼氏でもいい」
「勃つならなんでも良い」
「俺は朝勃ちしたいんだ…」

正直、泣きたい気分になって来たが堪える。
此処で泣いたらいつまで経っても離脱出来なくなるから。
…と、ふと、思い出した事でにやりとする。

「アレンはどうやってんだよ?」
「若い時はヤりたかったなぁ」
「お前一人Hだろ」
「彼女と…にはまだアレンは早くねぇか?」
「責任もあるしなぁ」
「どう思う?アレン」

皆ばらばらに好き勝手に喋りつつ、時折アレンを混ぜる。
顔を赤くする反応が楽しいのかも知れない。
いつものメンバーでは、話しも反応も在り来りになるから。
新しい玩具状態なアレンとしてはいい迷惑。

「アレン、彼女は?」
「朝勃ちするのか?アレンは」
「アレンはどうやって一人でするんだ?」

アレン、アレン、アレン…も、早く部屋に戻りたい。
とりあえず思い出した事を伝えてこの場を収めよう。
このまま流されていては色々と面倒だ。

「あのっ、プライベートは秘密ですけど…」
「は?プライベート?」
「彼女いるのか?」
「教えろよ。どうヤってんだよ!」
「ちょ…っ、聞いて!聞いて下さいっ」
「何だよ」
「勿体ぶるなよ」

誰が言わせないんだ、誰が!と、思うもそこは我慢。
似非紳士なスマイルで素敵に華麗に包み隠す。

「知ってます?朝勃ちにはバナナが良いんですよ?」
「「「「本当?」か?」に?」だな?」(+α+こっそり聞いていた人数とか「」省略)
「後は焼き大蒜も効くそうですよ?試した人が言うには」
「アレンは試して無いのか?」
「実体験じゃ無いのか」
「僕はまだ必要無いですから」
「あ!ヒドイよ。アレン」
「お前も何れ悩むんだぞ!」
「人事だと思ってるな?」
「ぅ…いぇ、ね?先ずは試してみませんか?」
「バナナ…昨日はあったよな」
「もう食べたんじゃね?」
「焼き大蒜は…今は無理か」
「食堂に行って来る!」
「俺もっ」
「あるだけ貰って来い!!」

駆け出す人々を見送ると、それと無く立ち上がる。
用件はまた明日にしよう、そうしよう、と。

「アレン、お前も食ってけ!」
「ぇ、いゃ…いえ。大丈夫です」
「そういえば何か用があったのか?アレン」
「…と、…団服が……」
「あ、破損した?」
「予備を出して来るから待ってろ」
「折角だ。バナナも食ってけ!」

有り難いけど有り難く無いような…が、あまりの笑顔。
断りたいけど、断る理由が思い付かない。
仕方なくまた元の位置に逆戻るしかなかった。

「ほら!バナナっ」
「大蒜貰って来た!」
「生じゃん」
「バーナーで焼けよ」
「俺にもバナナ!」
「アレンにもほら!バナナ」
「いぇ、僕は団服を…」
「食いながら待てよ」
「遠慮すんな!沢山食え!!」
「アレン、予備…あ!俺にもくれよ」

人間諦めも肝心なのか、そうなのか…あぁ、帰りたい。
あ、ユウ…待ってるよ、ね?
さっきばったり会ったし、早くしなきゃ叱られる!
と、考え事をしていたら。
団服を受け取り、うっかりバナナも受け取り。

「もう焼けてね?」
「おら、食え!」
「熱っ」
「焦り過ぎだろ」
「アレン!食いっぱぐれるぞ」

別に食いっぱぐれても今なら後悔は無い。
寧ろ食いっぱぐれさせて欲しいとさえも思う。

「こら!お前ら何をやってる」
「あ、班長」
「リーバー班長も食べます?」
「は?」
「下のムスコが元気になりますぜ!」

この後叱られたのは勿論であるが僕はとばっちり。
も、本当に嫌だ…と、倍増した疲れを引きずりながら歩く。

「おい!」
「…ぁ、…………ユ、ウ」

不機嫌と怪訝を織り交ぜた表情で見て来るは愛する恋人。
トランクに団服にバナナに焼きと生の大蒜を装備する僕。
そりゃあ、うん、そんな表情にもなるよね。

「何やってたんだ?」
「ぅ…、聞かないで。えっと、ユウは?」
「迎えに行く所だ」
「誰を?」
「お前」

トランクを奪うと開いた手を繋がれる。
久しぶりの温もりは嬉しいけれど此処は廊下。

「ね、ユウ…あの、ね…」
「こんな真夜中に誰が通るか」
「…。今、何時頃?」
「2時は過ぎてた」

見回りの巡回に見つかるように出歩く筈は無く。
迎えに来るくらいだからかなり待たせたのは明白。
判断力が奪われてるのは、何も任務後だからじゃ無いな。

「何やってたんだよ?」
「…ちょっと団服を」
「時間が掛かり過ぎだろうが」
「ごめんなさい」

足速に手を引かれて神田の部屋に到着。
横倒しに置かれたトランクの上に持たされた物を乗せる。
バナナに大蒜、バナナはともかく生大蒜なんて。

「あ、ユウ。バナナ食べます?」
「要らね」
「美味しいですよ?」
「俺には必要無い」

千切ったバナナを手にしてベッドに腰掛ける。
はい、と、差し出してみるが拒否をされた。

「要らねぇ。俺には必要無い」
「美味し…ぃ、…え?必要無いって…ぁ、」
「それとも、もっと頑張れと?」
「…ぁ…の、ユウ」
「今のセックスじゃ物足りないって事か?」
「ど、ぅ…し、て……」

『これで勃起するぜ!』
『朝からムスコが元気だ』
『アレンにも…』
何処で油を売っているのかと僕を捜し歩いていたら。
件(クダン)の会話が耳に入り科学班に拉致られていると判明。
聞こえた話から判断するに下半身を元気にしたいと。

「足りなかったとはな。気付かなくて悪かった」
「や、足りてる!足りてますっ」
「バナナ、くれるんだろ?」
「これ以上激しいとか無理!壊れちゃう!」
「壊してやるよ。気を失うまで、正体を無くすまで」
「や、ユウ!待って、違うのっ」
「俺だけしか受け入れ無い体にしてやるから」
「それはもう間に合ってる!」

隣に腰掛けるんじゃ無かった、と、思うが詮無き事。
じり、と、間合いを詰められ、逃げられない。

「あ、あのっ!僕が食べます、食べて頑張るからっ」
「イかないように勃てて頑張ると?」
「いや、え、…も、嫌!違うっ、えっと、…ぁ」
「頑張れよ?アレン」
「ほら!僕、お風呂!そう、お風呂まだですしっ」
「黙れ。バナナも突っ込まれたいか?」

バナナは、嫌だ…と、言うか食べ物は大切に。
そして僕は言葉とは裏腹に大切に食べられてしまいました。

(終)

**********
【Request:バナナなネタを話にせよ。より】☆☆様へ。
日記に書いた朝勃ちにはバナナ…な、話が読みたいとの事で。
責任を持ってお持ち帰りしなさいよね!w
名前を伏せておいてあげるのはあたしの愛よ!www


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