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贈する想いは
【clap】110110迄。

「ね、ユビキリ」
「は?」
にっこりと笑顔で小指を差し出して来るアレン。
「子どもかよ」
そう言いながらもその指に自分の小指を絡める。
「約束ですからね」
「あぁ。約束だ」
ふっと溜息混じりに笑みを吐き出す。
「…本当にどこがいいんだか」
「全部!」
「俺より?」
「…ずるい。その質問」
むぅ、と可愛く拗ねるその頭を撫でてやる。
「今から行って来る」
「え、今から?!」
「早い方がいいだろ?」
「でも…、折角一緒に居れるのに」
「来るか?一緒に」
「うん!」
「幼子と同じだな。どこにでも付いて来たがる」
そう言ってにやりと笑う。
「だってぇ…。一緒に居たいんだもん」
言いながらぎぅっと手を握り、にこりと微笑みかけた。

出かけた先は温かみのある焼き菓子の並ぶ店。
古いけれど手の行き届いた店内に甘い匂いとバターが香る。
「選べ。どれだよ?」
「何個買っていい?」
「後から来る奴の事も考えて買え」
「はぁい」

先程のユビキリは気まぐれに神田が問いかけた事。
『何か欲しいものは無いのか?』と。
その答えがこれだ。
キスとでも答えれば可愛いのに、と思ったのは内緒。
アレンらしいと言えばそうなのだけれど。
楽しそうに店内をうろうろとする姿を眺めて待つ。
その愛らしい仕草に思わず笑みを零した。


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あきゅろす。
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