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贈する想いは
あたたかな時と彼氏と彼氏。

くるくると無意識に相手の髪を絡めながら緩やかな時を過ごす。
背に背を合わせて其々が其々に居心地好く。
会話は無く、繋ぐは温もりと呼吸音と彼の艶やかな長い髪。
そこに夕刻までの残り少ない日差しの暖かさも心地良さを添えた。
微かに感じる上下に安らぎつつ本に視線を落としたまま。
「おい、アレン」
「んー?」
今良い所なので生返事を返しつつ目は文字を追う。
「アレン」
「んぅー…なぁっ、わ!」
落ちた先は胡座をかいた神田の右腿の上、気持ち好い。
「聴いてたか?」
「へ?」
「…バカモヤシ」
神田の顔が近付くと耳元に唇が触れて食(ハ)まれた。
「ひゃあっ…ん、や…」
そのまま舐められて、中を舌がつぅ、と、滑る。
「………」
擽ったさに混ぜ込まれながら耳に、こそり、と、声が届く。
「ぁ、…ごめ、ん」
「バカ」
ふっと微笑む顔に見とれると、また顔が近付いた。
「目」
「あ、はぃ」
軽く押し合うように触れ合うと、そのままアレンの頬は固定される。
何度も何度も、離れそうで離さない距離を保って。
常に触れつつ位置を変え、深さを変え戯れる。
「ふ、ぁ…っ、……んっ」
心地良い快楽に腕を延ばし、神田の頭を引き寄せた。
と、息苦しくなり顔を逸らせば、笑いを堪えた彼が目に入る。
「苦しかったか?」
そう言いながら摘んだ鼻から手を引くと、鼻先にキスをした。
「も!意地悪っ」
「可愛いな、お前は。返事は?」
「ん?」
「さっきの返事」
「あ!」
起き上がると首に腕を回し、こそり、と、耳元で応じた。
「どうして欲しい?ユウ」
「どうされたい?アレン」
問いか答えかな掛け合いを送り合うと視線を交わす。
「構って欲しいのはユウでしょ?言って」
「じゃあ、アレン。セックスさせろ」
軽く笑いを含ませた顔で、アレンの出方を伺っている。
「…それ、は、…馬鹿!」
「仕方ないな。キスで許してやるよ」
陽光が差し込み全てを曝け出す、まだ辛うじて明るさが残る時間。
見せ付けられる現実が恥ずかしくて、日の中の接触は照れが出る。
「アー、レン?」
「…ぇ、う…ん」
「アレーン?」
「も、…楽しんでるでしょ?」
「さぁ?ほら、アレン」
含み笑いを零しつつ、上機嫌な様子で嬉しそうな神田を睨む。
「その上目使いもいいな」
「…馬鹿」
アレンのささやかな抵抗も楽しみに変えキスを待っている。
「なぁ、構ってくれるんだろ?」
「そぅ、…だけど。……目、閉じ…て」
「はぁい」
可愛く返事をするも意地悪な恋人に、ふぅ、と、溜息を落とす。
「何?俺の事が嫌いか?」
「も、馬鹿っ!早く目を閉じてっ」
小首を傾げてわざと尋ねる姿が愛らしくアレンに映る。
演出だとは頭では良く判っているし、騙されてはいけない。
でも、日頃見られない仕草にどきどきとしてしまう。
長い睫毛が顔に影を作るのを見届けると顔を寄せる。
アレンが目を開ければくつくつと笑う彼の顔。
その唇に触れるは神田の人差し指と中指。
いつの間にか目を開けて悪戯を楽しんでいたのだ。
恥ずかしかったのに、本当に恥ずかしいのに。
「この、バ神田っ!」
頬も耳も朱く染め泣きそうなアレンを笑う。
「照れて、拗ねるのも可愛いな」
不意打ちに膨れる頬にキスをすると優しく抱きしめる。
「愛してるよ、アレン」
そんなじゃれ合う二人を、最後の煌めきで太陽が包み込んだ。
重なるシルエットが薄闇に溶け、二人の秘密は隠された。

(終)

**********
【Request:可愛い神田君が見てみたい。より】S様へ。
可愛いに悩みました。
自分ではあまり書かない感じの神田だと可愛いのかも?
と、ちょっと幼い感じで書いて見ました。


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あきゅろす。
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