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贈する想いは
【clap】130327迄。

寒い、なんて溢しても。

寒さが減る訳でも無く。

温かさが増えるでも無く。

でも、口からは直ぐに 寒い と。

ぽろ、と、滑り落ちて。


「煩ぇよ」
「だって、寒いんですもん」
「冬だから当たり前だろ」
「だとしても今日は特別寒いですよ」


上掛けを、ぎゅ、と、引き寄せて。

寝具に籠る暖気を逃さぬように。

二人で寝るには狭いベッドで。

少しだけ体を丸めて悪足掻く。

起床予定時刻、少し過ぎ。


「そろそろ起きないと駄目だろ」
「うー、もぅ少しだけ……」
「遅かれ早かれ出るしか無ぇんだぞ」
「……知ってる、ぅー、出たく無いー」


一旦は出ようとはした、試みたが。

温もりが惜しくて、また逆戻りを。


「この温かさを愛してるのに!」
「……なぁ、」
「何です?」
「お前の惜しい温もりって……、」
「ん?」
「俺だろ」


ぎゅ、と、引き寄せる対象を。

愛する彼に変えて、擦り付いた。

その離れ難い温もりに、ぎゅ、と。


「……ぅん、大好き。愛してる」


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