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贈する想いは
【頂き物】糖度80%

セレネの涙
:悠乃様より相互記念に頂きました。
**********
午後10時を過ぎた頃
満月に満たされた
神田の部屋で

アレンはひとり
そわそわと
落ち着かないでいた


「ぁ、の…神田?」

「…なんだ」


「ぉ、降ろして−…っ、」


小く呟いた声は
少し上擦っている

恥ずかしい

そんな感情だけが
今のアレンを支配している


「駄目だ」


あっさりと
言い切返す神田

その冷めた言葉に
負けじと
アレンの声が大きくなった


「〜〜降ろして下さいっ!」


「断る」


「な…っ、
意地悪っ!!
何がそんなに
楽しいんですか?!」


口許が
弧をえがいて笑っている
普段から見かけない
笑顔だから
悪い気はしないのだが

精一杯の勇気を出して
反論した筈なのに

アレンの願いは
さらりと流されていった


こんな会話が
幾度となく
繰り返されている

それでもアレンは
根気強く訴えているのだ


こんなこと
滅多に無いだろう

紳士を名乗るアレンが
完全拒絶という
そのタブーを冒してでも


《降りたい》というのだ…


ソコはつまり

言わずもがな


神田の膝

だったりする…


ベッドに座った神田の
膝の間に
ちょこんと
座らされたアレンは

さらに

背中から抱き込まれ
完全にホールドされていた

そのせいか

彼のおりた長髪から
仄かに漂う石鹸の
鼻孔をくすぐる匂いがして

ピタリと密着した
アレンの背中に広がる
神田の体温が


アレンの
意志とは勝手に
胸は早鐘を打っている


早く静まれっ、


すると突然


「…アレン、」

「へ、?」


いま−…

何て言いました?



「アレン、」

「ぇ、っ神田…!?」

「アレン」



まるで
その言葉しか
知らないかのように

アレンの名を繰り返す


「アレン…」

んっ、



なに…、?


「アレン−…」

んぁっ、!



身体が…熱、い





「アレン」

「ふぁ、っ…!」


遂に抑え切れず
甘い声が響いた

「アレン…」


脊髄から
ゾクゾクと何かがクる

脊髄からだけじゃない
耳からも


「アレン」

「……んっ、」



アレン以外
誰も聞いたことの
無いであろう

神田が甘い声で
自らの腕に閉じ込めた

白い恋人の名を囁く




ちゅく…っ、

「ひゃんっ!?」


がっしりと
抱きしめていた腕が
腰ではなく腹部へと
厭らしく動いた

その時


小さな水音をたて
神田が耳を舐めてきた



「声で感じたのか?」


意地悪な声が
耳にかかって小さく笑う

「淫乱だな」

「…違、っ!」

かぁあと
耳まで熱くなるのが分かる
「さっきから
感じてンだろ?」

「ばか…っ、」



薄い窓の向こう
丸い月が僕らを見てる

まるで

君の虜にされた僕を

からかっているのか


それでも今が…

幸福過ぎて
くすぐったくて

なんだか
とてもわくわくして
すごくどきどきして

人を好きになる事が

寂しい僕を
変えてくれました


だから

意地悪な君に

僕からの

仕返しです!



「…神田、
君が大好きだょ」


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