贈する想いは
1:【13784リク】誘(イザナ)われるは、誘(イザナ)われたは。【R18】
別に。
それが在ろうと無かろうと。
何も変わらずに。
世界は動き、俺は生きる。
そう思っていた。
「何だ?」
「……ぁ、あのっ、」
「早くしろ」
「ぇ……、っと、……」
「うぜぇ。さっさと喋れよ、モヤシ」
「……ん、」
やたらと突っ掛かり。
やたらと吹っ掛けて。
視界に入れば目障りで。
寄りて語れば一触即発。
何が気に食わない?
俺だからか、お前だからか。
正に犬猿の仲。
それが、俺、神田ユウと。
奴、アレン・ウォーカー。
二人のたち位置で間柄。
それは周知で共通認識。
覆る筈のない物。
「神、田……」
「早く言え」
いつもは、歯切れの良い物言いで。
いつもなら、即、食い付いて来るのに。
今日は、……様子が違う。
だからか。
何時もの俺らしくなく。
奴の言葉を待っているのは。
らしくなく。
有り得ない。
俺の態度も。
奴の態度も。
「……か、ん、……ぇ、ぁの」
「まだかよ」
「……き、」
「あ?聞こえねぇ」
「好きですっ」
「………………は?」
「好きです!」
目の前には顔を赤くする奴。
いや、多分赤い。
団服の裾を、きゅ、と、両手で握り締め。
言い切ると同時に俯いて。
耳が赤い、微かに震える肩が……。
「……悪ぃ、」
「ぁ、……ごめん、ごめんな、さ……」
「お前、」
「……気持ち、……悪い、ですよ……ね、」
「黙れ。もう一回言ってみろ」
「……え?」
「お前、今……」
「……告白、しま……した。……神田、に」
「聞き間違いじゃねぇのか」
「……好き、です……と。言い、まし……た」
ちら、と、視線を向けて来る。
下向き加減なので、上目使いになって。
眸の煌めきは溢れそうな涙のせいか。
強気である所しか、見た事がなかった。
こんな不安気な雰囲気を纏うと、仕草をすると。
本当に思いもよらなかった、告白されるとも。
俺が好きだから弱さを見せたのか。
俺が好きだから怯えを孕んだのか。
白状したのは勇気かも知れないが、……そうだ、な。
「……神、田?」
「あ?」
「……と、あのっ」
「ふぅん。……良いぜ」
「ぇ、」
「付き合ってやるよ。お前と」
そう、言葉を紡ぎ出して、さら、と、伝える。
色んな意味で悪趣味か?と、思わなくも無かったが。
まぁ……、これまでの、揉めた苛立ちや鬱憤を。
今までの俺に対する、奴の悪態への仕返しを。
暇潰しも兼ねての、からかいと嘲笑を隠して。
不誠実極まりない思惑を抱(イダ)きながら。
そんな気持ちの俺に、真剣なんて物がある筈もなく。
気晴らしに過ぎない、ただの成り行きな気紛れ。
好き、なんて感情を、同性になんて抱く訳がない。
だから。
これは。
単なる、戯れなる、玩具でのお遊び。
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