贈する想いは 【アレ神】触れて。【かな?】 神アレ では無くて、 アレ神 ですよ? (●`・ω・)ゞ大丈夫!でしたらどうぞ。 ********** 頭がおかしいとしか言いようがない。 普通、いや、普通という尺度は嫌いだが、この場合は仕方がない。 一般的に考えて、どう考えてもおかしいだろう? 目が腐ってなければ、頭がイカレテなければ。 そんな事が在る訳がない、思いつく筈がない。 どう考えてもおかしい。 自分がおかしくないと断言できる。 おかしいのはお前だ、アレン・ウォーカー。 いつも浮かべるその嘘臭い笑顔の仮面。 大嫌いな奴の処世術的微笑。 人当たり良く……よりも、馬鹿にしているのか?と。 自分も大概捻くれている自覚はあるが。 でも、この包み隠す事勿れな笑い顔は気に食わない。 紗で被い、御簾のような、晒されぬ本心。 それが見えないのが嫌だ。 だから、この告げられた言葉も、嘘で塗り固めた。 戯言で、なんの冗談かと。 いや、冗談を言い合える程の仲ではない。 言い表すなら犬猿なのだから。 なのに、コイツは言いやがった。 聞き間違いかと呆けた声が出た。 勘違いでも夢でもなく、リアル。 誰も頼んでないこの現実。 意味が分からない、意味が。 「……は?」 「だから、好きなんですよ。貴方が」 「……」 「聞いてます?神田が好きなんですよ、神田ユウが」 「……馬鹿、か?」 「は?何で僕が馬鹿なんですか」 少し背の低い奴を見下ろせば、上目遣いの至近距離。 つ、と、爪先立ちになると顔を寄せて来て……。 「貴方が好きです」 そう、こそり、と、囁きを耳へと滑り落とした。 「……意味が解らねぇ」 ぽつ、と、らしくない独り言が口から漏れる。 他に誰も居ない自室に、思ったより大きく聞える声。 寝転がった寝台の上で横向きに体勢を変えて壁を見る。 別に何処を見ても答えが書いてある訳ではないが。 じつ、と、壁を見詰め続ける。 確かに奴は言った。 俺が好きだと。 だから、自分を好きになって欲しいと。 好き?好きだと? お前が俺を? 寄ると触ると嫌味の応酬、手も出る、足も出る。 下手をすれば武器も出る。 どう考えても嫌いだろ。 好きとか有り得ないだろ。 そもそもその前に。 俺も奴も野郎だろうが。 別に人の性癖に口を出すつもりも首を突っ込むつもりもないが。 それが自分を巻き込むとなると話は別だろう。 何故俺に? 同性だよな? 告白なんてするんだ?アイツは。 「そろそろ答えをくれませんか?」 「何のだよ」 「告白の答え。僕と付き合って下さい」 「……何の罰ゲームだよ、告白なんて」 「罰ゲーム?」 夕飯の為に食堂に向かう途中で拉致られて。 今は誰も居ない談話室に。 仄暗く揺れる灯りに奴の顔が照らされる。 かち、と、鍵の掛かる音がして。 一時的な閉鎖空間で。 見詰めて来るその瞳を。 静かに、見返した……。 「神田……、僕、……本気ですよ」 「……いつも似非の笑顔を振り撒いて、本心を隠すお前なんて信じられねぇよ」 「本心ですよ、今は。貴方が好きです、神田ユウ」 笑みはなりを潜め、あるのは強い眼差し。 意を決した、そんな強い光。 揺ぎ無い、真摯な、いつもとは違う表情で。 「本気ですよ、神田」 一歩、間を詰めると唇に唇を寄せた。 触れるか触れないかの、淡いキス。 甘さも何もない、唇の擦れた感触。 「好きです、神田」 「……、ぁ」 「貴方が好きです。だから、貴方を……」 『僕に下さい』 それが、奴と俺との馴れ初め。 [*前へ][次へ#] [戻る] |