贈する想いは
【アレ神】触れて。【かな?】
神アレ では無くて、 アレ神 ですよ?
(●`・ω・)ゞ大丈夫!でしたらどうぞ。
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頭がおかしいとしか言いようがない。
普通、いや、普通という尺度は嫌いだが、この場合は仕方がない。
一般的に考えて、どう考えてもおかしいだろう?
目が腐ってなければ、頭がイカレテなければ。
そんな事が在る訳がない、思いつく筈がない。
どう考えてもおかしい。
自分がおかしくないと断言できる。
おかしいのはお前だ、アレン・ウォーカー。
いつも浮かべるその嘘臭い笑顔の仮面。
大嫌いな奴の処世術的微笑。
人当たり良く……よりも、馬鹿にしているのか?と。
自分も大概捻くれている自覚はあるが。
でも、この包み隠す事勿れな笑い顔は気に食わない。
紗で被い、御簾のような、晒されぬ本心。
それが見えないのが嫌だ。
だから、この告げられた言葉も、嘘で塗り固めた。
戯言で、なんの冗談かと。
いや、冗談を言い合える程の仲ではない。
言い表すなら犬猿なのだから。
なのに、コイツは言いやがった。
聞き間違いかと呆けた声が出た。
勘違いでも夢でもなく、リアル。
誰も頼んでないこの現実。
意味が分からない、意味が。
「……は?」
「だから、好きなんですよ。貴方が」
「……」
「聞いてます?神田が好きなんですよ、神田ユウが」
「……馬鹿、か?」
「は?何で僕が馬鹿なんですか」
少し背の低い奴を見下ろせば、上目遣いの至近距離。
つ、と、爪先立ちになると顔を寄せて来て……。
「貴方が好きです」
そう、こそり、と、囁きを耳へと滑り落とした。
「……意味が解らねぇ」
ぽつ、と、らしくない独り言が口から漏れる。
他に誰も居ない自室に、思ったより大きく聞える声。
寝転がった寝台の上で横向きに体勢を変えて壁を見る。
別に何処を見ても答えが書いてある訳ではないが。
じつ、と、壁を見詰め続ける。
確かに奴は言った。
俺が好きだと。
だから、自分を好きになって欲しいと。
好き?好きだと?
お前が俺を?
寄ると触ると嫌味の応酬、手も出る、足も出る。
下手をすれば武器も出る。
どう考えても嫌いだろ。
好きとか有り得ないだろ。
そもそもその前に。
俺も奴も野郎だろうが。
別に人の性癖に口を出すつもりも首を突っ込むつもりもないが。
それが自分を巻き込むとなると話は別だろう。
何故俺に?
同性だよな?
告白なんてするんだ?アイツは。
「そろそろ答えをくれませんか?」
「何のだよ」
「告白の答え。僕と付き合って下さい」
「……何の罰ゲームだよ、告白なんて」
「罰ゲーム?」
夕飯の為に食堂に向かう途中で拉致られて。
今は誰も居ない談話室に。
仄暗く揺れる灯りに奴の顔が照らされる。
かち、と、鍵の掛かる音がして。
一時的な閉鎖空間で。
見詰めて来るその瞳を。
静かに、見返した……。
「神田……、僕、……本気ですよ」
「……いつも似非の笑顔を振り撒いて、本心を隠すお前なんて信じられねぇよ」
「本心ですよ、今は。貴方が好きです、神田ユウ」
笑みはなりを潜め、あるのは強い眼差し。
意を決した、そんな強い光。
揺ぎ無い、真摯な、いつもとは違う表情で。
「本気ですよ、神田」
一歩、間を詰めると唇に唇を寄せた。
触れるか触れないかの、淡いキス。
甘さも何もない、唇の擦れた感触。
「好きです、神田」
「……、ぁ」
「貴方が好きです。だから、貴方を……」
『僕に下さい』
それが、奴と俺との馴れ初め。
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