贈する想いは 【clap】壱:120117迄。 赤に透けるその朱(アカ)は。 人工物の甘い煌めきと。 自然物の甘い液な滴り。 舐めては薄め、舐めては。 薄(ハク)とした薄さまで舐め。 軈(ヤガ)てその糖衣は守りを弱め。 姫なる林檎を透けさせて。 柔肌に纏う衣程の飴菓子は。 白なる刃に噛み殺されて。 ぱり、と、皸(ヒビ)割れた悲鳴を溢した。 「意味解んねぇ」 「何がです?」 「果物と飴を一緒に食うなんざ気が知れねぇ」 「其処が好いんですよ」 「そう言うモンか?」 「異なる甘味と食感が好いんですよ」 薄々たる部分を舐めては増やし。 また、はくり、と、食べ進める。 口の端を汚す果汁は、蝶を呼び寄せる蜜か。 唇が寄せられ、やわらかな舌が舐めとる。 「俺はこっちのが好きだ」 攻めた口内に広がる甘さは、飴か、林檎か。 食す側から食される側になりし彼の甘さか。 身を剥がされるは、また人も同じ事。 甘い、甘く、捕らわれて食しませ、食されませ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |