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贈する想いは
9.【7777リク】end.

ふっ…と、目が覚め、ゆっくりと瞬きを何度か、そして思考もゆっくりと動き出す。
抱きしめるように胸に回された腕に手を伸ばしてそっと握るようにして。
少しだけ身じろいで頭を動かすと、視線の先に彼の口許が目に入った。
落とされた照明の変わりに、月明かりが彼を浮かび上がらせるように照らしている。
何時もは束ねられている髪が、その光を受け散らばりながら、黒い輝きを返していた。
「どうした?アレン」
「……起きて、た…の」
「あぁ。…何か飲むか?」
「ん、欲しぃ…」
軽く頭を撫でると腕を外し、きしり、と、寝台を鳴かせて神田が立ち上がる。
その背中に向けて、胸に在った問いをアレンはやんわりと投げかけた。
「ね…ユウ。何故?こんな…」
「何が」
先程は無かった水差しは神田が用意したのか、そこからグラスに水が注がれる。
此方を向いた彼の顔を見詰めながら、アレンは穏やかに続けた。
「僕は、何時ものユウが好きなんですよ。何時ものユウが好いんです。だから…」
「だから?」
差し出されたグラスを体を起こして受け取ると、その背に枕が差し込まれた。
向かい合うように、ベッドに腰を下ろして神田もアレンを見詰める。
「あのね、僕はそのままのユウが好きなんですよ。だから、変わらなくて良いんです」
「俺が変わらなくても、お前が変わるかもしれない。俺を嫌いに…」
「なりませんよ。ユウが、ユウだから好いんです。僕は常時神田ユウ仕様なんですからね、既に」
「……何だよ、それ」
「ユウ以外は受け入れません。他には要りません、必要無いです。ユウだけに夢中ですから」
「お前…」
ふうわりと花がほころぶように、でも、悪戯っぽく、アレンは優しい微笑を浮かべる。
「甘やかそうとしなくても、ユウは何時も僕を甘えさせているんですよ。知ってました?」
「……」
「ありがとうユウ。とっても、ユウの気持ちがとっても嬉しかった」
「アレン。…結局、俺がまた甘やかされてるんだな」
がしがしと長髪を乱して乱暴に掻くと、ちょっと拗ねたように視線を外した。
ふふ、と、小さく笑い声を漏らすと、アレンは微笑を深める。
「ね、ユウ。ひとつ甘えても良い?」
「あぁ」
「飲ませてくれる?口移しで」

「喜んで、お姫様」

(終)

**********
【Request:とってもとっても甘い裏。&神田がアレン君を甘やかす感じで。より】さや様へ。
暫しお時間…どころか、大変お待たせ致しました。
甘く書いた!と、言い切ってみる(`・ω・´)キリッ
リクエストありがとうございました。


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