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贈する想いは
4.【7777リク】

「うわぁ、すご……」
招き入れられた室内には、僕好みな食べ物の数々が、テーブル一杯に並び、床の篭には果物が。
「早かったな」
「ね、どうしたんです?」
「別に」
帽子を脱ぎ荷物を外すと、彼がそれを片付け、立ち尽くす僕に、料理の並ぶ席から手招きをした。
L字型のソファーと一人掛けが置かれる、少し豪華に感じる室内に、ゆたり、と、座る彼。
離れて座るのも変な気がするけれど、何と無く気恥ずかしく感じられて、未だに動けずにいた。
「アレン」
手が伸ばされ、優雅に誘う様子がよく似合う、やっぱり格好良いな、と、思いながらその手を取った。
「ぇ、ちょっ!ユウッ」
膝の上に座らされると、やわらかく腰を抱き止められ、左の頬に軽くキスを貰う。
「夜食、食うだろ?食わせてやるよ」
「え、え、えぇ?!ちょっ、」
「嫌か?」
「…………嫌、じゃ……無い、」
「そうか」
膝の上が落ち着かない、食べさせて貰うのも落ち着かない、何だかどきどきして落ち着かない。
「何?顔が赤いが」
「……別、に」
美味しい筈の料理も、何も味を感じない、判らない、只、神田の体温ばかりが気になって。
唇に触れる指先、腰に回る腕、掛かる吐息、聴こえる声、何時もの彼が彼じゃ無いようで。
何時もの自分も自分では無くて、やたらと鼓動を早める心臓に、胸が痛いのは。
大好きな彼が近過ぎるなんて、今までにも有った事なのに、とても何故か息が苦しい。
「ひゃっ!ぇ、…何?」
「付いてる」
舌で舐め取った事を認識し、益々追い詰められるように落ち着きの無さに拍車を掛けた。
「もういいのか?」
「ん、お腹一杯」
「もう?」
「……ぅん」
下ろす気は無いのか、胸に頭を寄せ掛けさせると、暫く僕の髪を梳いては撫でてを繰り返した。
「ぁの、……ユウ、」
「何だ」
「……ぇと、ね、」
「下ろさねぇぞ」
「…………ね、」
「そろそろ風呂に入るか」
解放されるかと思いきや、予想外に抱え上げられ、そのまま歩き出す神田に慌てて声を掛けた。
「や、ちょっ……ユウッ」
「お前、”ちょっ(と)”多過ぎ」
「ぇ、だって!何で?!」
「何でも、だ。洗ってやるから」
「は?!え、ちょっと!待っ……」
「待たねぇ。俺がそうしたいから。駄目か?」
下手に出られて逆らえる筈も無く、頷く事しか用意されてない答えに狼狽えるしかない。
「アレン?」
抱き上げられて近い顔が、距離を詰めて、緩やかな笑みを浮かべて語り掛けてくる。
「別に風呂場で抱いたりしねぇよ」
「なっ?!誰がそんなっ…」
「期待してんのかと思った」
赤らめる頬に、軽く触れるだけのキスを落とすと、目的を果たすべく、浴室へのドア潜った。


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あきゅろす。
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