連綿たる経常
熱と腕(カイナ)。
さわり、と、当たる感触に、微睡みの中から、うすら、と、瞼を上げる。
「……ァ、レ……ン、」
「ぁ、ごめん。起こして……」
普段、他人なら、扉の向こうからでも気付く気配も、気を許す彼にはどうしても反応が鈍くなる。
居て当たり前の存在、立ち入る事を許した存在、大切な愛し人。
「……いつ?」
「少し前、かな」
「来る……か?」
「ん、入る」
眠た気な間延びした声に、前髪を撫でていた手を止めて、神田にやわらかく微笑みながら答える。
アレンの横たわるスペースを作るために、緩慢な動きで壁際に寄った。
「ユウはいつ戻ったの?」
「……ん、……、くら、ぃ」
「眠いよね、ごめん」
「ん、ぃい、……」
寝そべる体に腕を回しながら、擦り付くようにアレンに身と顔を寄せる。
ぎぅ、と、確かめるように抱きしめたが、程無く緩む力、眠りに変わり行く吐息。
「おやすみ、ユウ」
「……ぅ、ん、」
その頬にキスを落として、頬を沿わせて、目の前にある耳へそっと囁きを。
「愛してる、ユウ。また、……後でね」
声は返らずに、肺から吐き出される深い呼吸音と心地好い体温に、アレンも眠りの国の住人となった。
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