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-混沌たる現と幻-
小さなヤキモチ。[アレルヤとティエリア]
はぁっ、と、空に溶けるように息を吐き出す。
真っ白な色が闇色に混ざる。
もう一度大きく吸い込んで、星の瞬きが訪れ始める夜空へ送り出した。
「寒いでしょ?ティエリア」
何度も飽きる事無く繰り返される行為に、後ろから声がかかった。
「アレルヤ…」
顔だけを向けると、ちら、とだけ振り返り、また前を向き繰り返す。
ふる、と体を震わせながら。
吸い込む大気に秒刻みに冷たさが増えて行く時間帯。
寒くない訳が無い。
「寒いんでしょ?」
後ろから抱き込むように抱きしめる。
その背(せな)と胸の隙間を埋めるように寄り掛かって来た。
ぎぅ、と、もう一度強く抱きしめ、温もりを移す。
鼻先のティエリアの匂いが心地好い。
「ね、さっきから何をしているの?」
凭れ掛かるように頭を上げるティエリアと視線が合わさった。
「笑わない?」
「勿論」
視線が夜空に動いた。
アレルヤもその視線の先を追うように見詰める。
「雲を生み出してた」
「雲?」
そう言ってまた、はぁあ、と、長く吐き出した。
「吐き出す息の白さが雲みたいじゃないか?それで星を隠していた」
「それで空に、ね」
「そう、雲の神さまみたいかな…と」
「ティエリアでも神様を信じるんだね」
「いや、意地悪だから神様じゃ無いかも」
「意地悪?」
つぃ、と、指差した先には星々と同じに天空に上がる月。
「月と星の逢瀬を邪魔していた」
「なぜ?」
「羨ましかったから…」
空でなく大地に視線を落としてしまったティエリアの頭に、こつ、と顎を乗せた。
少し思案してから言葉を降らせる。
「寂しかったの?最近一緒に居られなかったし。それで会えてる月と星に意地悪?」
こく、と、小さな頷きが伝わった。
「でも、月の見えない時期は星達も我慢してるよ?」
「それはこちら側から見ての話だ」
ふふ、と、小さく笑うとティエリアが頭を起してきた。
「も、可愛いんだから」
ゆる、と視線を合わせると、唇も合わせた。

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