-混沌たる現と幻-
あせった！[ﾃｨｴﾘｱとﾗｲﾙ]
時期的に言えばこの国では残暑にあたる。
暑いのも仕方の無い事なのだが、暦の上では秋と言う涼しい季節。
納得がいかない。
数秒思案したﾃｨｴﾘｱは、おもむろに着ていたものを脱ぎ捨てた。
それに気付いたﾛｯｸｵﾝが、慌ててそれで前を隠す。
『ﾛｯｸｵﾝ、隠す意味が解らない』
『あ…うん、いや…何となく？』
そう、男性だと言う事は判っている。
ﾃｨｴﾘｱが女性で無いとしても、思わず隠してしまったのだ。
綺麗な白い肌に、朱い大きな宝石のような瞳、肩までに切り揃えたさらさらの紫の髪。
文才の無い自分でも、それが在り来りな文章だとしても、直ぐに例えられる程のその美貌。
同性だと解っていても、こう…すみませんでした！な、気分に為ってしまったのだ。
『暑い…』
『じ、じゃあ、エアコンを…』
『シャワーを使う。エアコンを入れといて貰って構わないか？』
何度も上下に頭を動かして了承するﾛｯｸｵﾝ。
悪戯っ子のような視線を投げ掛けてﾃｨｴﾘｱ部屋を出て行く。
ﾛｯｸｵﾝはそれには気付かず、上がった鼓動を落ち着かせるのだった。
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