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其々の砌にて
一編。

ふ、と、寝返りを打った時に掠めた、手に触れた何だろう?という違和感。
思った程深くは意識が落ちていなかったらしい。
手を動かし確認すると…あぁ、と、納得した。
つっ、と、指先で軽く触れると、先程の雄々しさは無く、柔らかな手触りを伝えて来る。
若干の眠さと、微妙に朦朧とする意識を抱えつつ、もそもそと寝具の中に潜り込んだ。
んーと…、と、考えているようで考えていない思考回路。
暗さが支配する見え難い状況で見当を付けると、先端をぱくりと銜える。
括れた先よりは含まずに、その丸みを帯びた先だけを舌で転がす。
舌先だけを使い、前後に動かし、左右に擽り、緩やかな刺激を与える。
ぴくり、と、返える反応とは裏腹に、それを持つ本人は寝息を立てて眠ったままだ。
段々と意識がはっきりとしだし、面白さが募って来る。
日頃は自分が攻め立てられ、追い詰められ、声を上げて鳴かされ、享楽の淵に沈められるのだ。
たまには良いだろう?と。
口から出し片手で支え、唾液で湿るその先を、もう片方の指先でくるくると撫でる。
次に握り直すと、ぐにぐにとその親指の先だけで潰すように遊んだ。
ひくひくと反応を返すそれを再び口に含んだ所で、喉の奥に痞(ツカ)える程に押し込まれた。
「ん…ぐぅ、っ」
「熱烈なお誘いだな、おい」
頭を押さ付けるように差し込まれた為、逃れる事も、抗議の声を上げる事も出来ない。
そのままに寝具をはぐられ、半身を起こした神田と目があった。
「久しぶりだから手加減してやったのに。足りなかったようだな」
両手で頭を掴まれると、ゆっくりと引き抜かれる。
空気が気道に溢れ咳込むが、すぐにまた挿入された。
「んぁ、…ぐ、……んっ」
「この淫乱」
強制的に出し入れを繰り返し、喉の奥の丸みに擦り付けられる。
奥ばかりを狙われ苦しくて吐きそうになるが、歯で傷付けないようにするので必死だ。
「あぁ、大丈夫か?」
「ん…ぅ、ぐっ…」
クツクツと喉で笑いそう言いながらも、奥に押し付ける事は止めない。
顎を掴んで少し上向きにさせると、含む口から零れる唾液を指で拭い舐め取った。
「どの顔も可愛いよ、アレン」
甘い声とは裏腹に、奥ばかりを何度も繰り返して狙う。
自分の唾液も空気も、先から垂れはじめた蜜も上手く飲み込む事が出来ない。
ぐちゅぐちゅと混ざり増えて行く液体で摩擦が減る分、突かれる回数が増えて早くなる。
「いいだろう」
流れ込んで来る気体に噎せる体を、そのまま真下へと押さえ込まれ寝具へと沈められる。
「っ、やぁ…ごめ、ん…な…」
「うるせぇよ。舐めろ」
「や、かん…だ、ぅ…んっ…」
口内に人差し指と中指を入れると、飲み込め無かった体液と絡め舐めさせた。
片手で首の後を押さえたまま、舐めさせた指を尻の合わせ目の奥に滑らせてその穴を指で撫でる。
指と入口が吸い付くように合わさると、その柔らかな窄みを優しく押し、戻しをゆっくりと始めた。
穴の小さな窪みに濡れた指が当たれば、くち、と、音を立てて僅かな空気が押し出される。
撫で押すように少しずつ力を加え、ゆっくりと指先を埋めて深さを増やして行く。
「っは…ぅ、も…しない…か、らぁ…あぁっ」
一つ関節が飲み込まれると、押し広げるように皺を伸ばし指を増やす。
先程受け入れたそこは、痛みを伴わずに易々と2本の指の進入を許した。
「こっちはやる気じゃねぇか」
「や…だぁ、…いわ、な…い、で……っ、んぁっ」
「好きなんだろ?ここが」
埋め込んだ指先で中にある小さな膨らみを擦るように刺激する。
その産み出す快感に跳ね反る背中を押さえ動きを封じた。
「ぁん、…や、め…ぅあ…」
「好きだよな、ここ」
「ひぁ…、ぅんっ…あぁ……、も…ぅ」
「入れねぇよ。指だけでイけよ」
「かん、だ…ぁ、…や、だぁ…」
触れば前が立ち上がる快楽を齎す事が解っているソコばかりを執拗に擽る。
「誘いに乗ってやったんだ。イケよ」
逃げる腰を抱き込んで、只出させる為だけに前立腺のしこりを攻め続ける。
「…っ、は…、ごめ…ん、な…ぅ、っはぁ…」
「ほら、イけよ」
「や、…かん、だ…が、いいっ」
「嫌だね。ほら、もう限界だろう」
「やぁ、…だ」
ベッドに押さえられたままに達すれば、生温かい体液の染み込み切れぬものがじわりとシーツに広がった。
「口を開けろ」
声に魅かれ濁る意識のまま、言われた通りに従順に口を開く。
「くれてやるからイかせてみせろ」
反転したと認識したのは天井が見えた事と、美しく笑う神田の顔が映ったから。
アレンの肩下に足を入れ込み顔を跨いで腰を落とすと、待ち侘びる口へと自身を侵入させる。
受け入れる方は、舐め取る様に挿入されるモノに舌を這わせ、ゆるやかな刺激で包む。
「いいこだ」
片手でアレンの顔に掛かる髪を撫でてやりつつ、艶めく笑みを惜し気も無く零す。
「出来るな?」
確認では無くこれは命令、労りでは無く従う事が当然である絶対的な支配。
だがそれは甘美なる献身、奉仕出来る喜びを満たす行為と言葉。
ストローを吸うように強弱をつけて吸い、舌を使い舐めて尽くし、擦り突かれる苦しさに噎せても止める事はしない。
アレンの一生懸命に愛する顔を眺めつつ、神田は腰を動かしその様子を愉しむ。
「アレン。俺の許可無く淫らな事はするな」
行為を休む事なく、瞬きで肯定の意志を伝え、より丁寧に仕込まれた口での愛撫を供する。
「お前は俺のモノだ。お前の体は俺以外の自由にはさせない」
「ん、ぅ、…」
「気持ち好さを得るのも与えるのも。欲しければ俺に強請れ」
ぐちゅぐちゅと突き込み苦しさを与えながら、甘い声と笑みでアレンの思考をぐずぐずと溶かして行く。
「愛してるよ。アレン」
そう告げてから、どくり、と、中に溜め置いた液体を吐き出して受け止めさせる。
「いいこだ。飲めるな?」
口に銜えたまま、零さぬ様に何度かに別けて嚥下すると、そのまま吸って全てを呑み込んだ。
舌を使い全体を慈しむように舐めて綺麗にすると、舌を出して完全受け止めた事を示した。
「いいこだ」
「あ…り、がと…ござい…ま、す」
「欲しければ強請れ。勝手は許さない」
抱き起こし視線を合わせて再度念を押すと、こくり、と首肯し意志を表した。
「お前の可愛い顔を見逃したく無いからな」
「ユ、ウ…」
抱き着こうとしたアレンより先に、神田はその体を強く抱きしめる。
「お前の全てを見ていたいんだ」
「うん。僕はユウのモノ」
「あぁ。俺はお前のモノ」
どちらもどちらに囚われの身。



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