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其々の砌にて
一編。

ギシギシと軋みを上げる寝台に、熱く吐かれる二人の呼吸と、その合間を繋げる水音。
月明かりがひそりと差し込む室内に、交わる肢体が影絵のように動く。
「神、田…っ、もっと…抱い、て、…ユウっ」
「アレン」
ぶつかるような口付けに、混ざる唾液が互いの口の端(ハ)を伝う。
胡座を組む神田の首に縋るように腕を回し、その内側で膝立ちをするアレン。
その腰を片腕で抱き込み、もう一つの手で立ち上がったモノを強く扱く。
溢れる先走りに、零れた唾液がその上にぴちゃりと掛かる。
「っ、んぃ…あ、…」
ぬめり滑りがよくなるその先に、竿に、滴る液体を塗り付けると、そこからも喘ぐようにぐちゅりと声が落ちた。
「ユウっ、ユ、ウ…ぅあ、ん…あぁあ…」
「イケよ。我慢するな」
「っ、は…ぁ、イれ、て」
「慣らし、て…ねぇ、だろっ」
「いぃ、か、らぁっ…ぅあ…」
「お前今日…変っ、は…ぁ」
回した腕を解いて肩に手を突くと、神田の体を跨ぎ再び膝立ちとなる。
その下腹部に少し乗り上げるようにすると、後ろ手に神田自身に手を伸ばした。
自分のモノと同じ様に硬さを持つソレを、ゆるりと後ろに宛がう。
「アレ、ン…、やめっ」
「うぁ、ああぁっ、…っ、は、…」
慣らしも濡らしもしていないソコは、与えられたモノの先端から括れまでを飲み込んだ位置で留(トド)まる。
「ばっ…か、っ、お前…」
「イヤっ、ぬかな…ぃでぇ…」
取り去ろうとする神田を制し、その肩口に顔を埋(ウズ)めて荒い息を吐き出す。
乱れる息を整えるように何度か大きく息をすると、深く吐いては緊張を緩めつつ奥まで進めて行く。
「ぃ、あ…、ん、ぅ……」
「アレ、ンっ…はぁ、お前…っ」
口で息をしながら受け入れるが、やはり痛みを伴うのか、神田の肩に爪が食い込んだ。
刺さるように短く吐かれる息は、痛みと、さらに熱を宿して行く。
アレンの背に手を伸ばすと、肩から腰までを痛みが除かれるように、呼吸に合わせて優しく摩ってやる。
「だい、じょ…ぶ、かよ」
「っんぅ…、ん、っ…へい、き」
少しずつ確実に、胎内(ナカ)を神田自身で一杯するように最後まで入れ込んだ。
ぎぅ、と、再び首に腕を回すと、顔を寄せて擦り寄った。
「ど、した?」
「うぅ、ん、…」
「アレン?」
しとりと湿り気を帯びた髪に空気が渡り通ように優しく下から梳くと、甘えるようにもっと体を寄せ付ける。
「…続けるか?」
「ん、…」
腹に挟まれ添うように当たるモノにゆるりとした刺激を神田の右手が柔らかく加える。
反対の手で抱き着く体の背を斜めに渡るように左肩を抱くと、頭を寄せるアレンの耳元で甘く囁く。
「愛してるからな」
「ん、僕も…愛してます」
アレンの髪に唇を当ててキスを落とすと頬で軽く撫でる。
「なぁ、後ろは抜け」
「や、…っん、…ぃや…あぁ…」
「アレン。無理に入れるのは良くない」
「や、だ…ぁ」
はっ、と、息を吐き出すと、前を弄るの止めてしまう。
「っ、…かん、だ?」
「待ってろ」
その手を口元に持って行き、舌を這わせながら唾液を掌に零して塗る。
「少しずつ抜け」
「ん、わか…た」
神田の意図する事が解り、ほっとしたようにじわじわと抜き出し始める。
掌を濡らす唾液をアレンの後ろに塗り付けてから、引き出された部分を手で握り込んで湿らせた。
「なぁ、アレン…いや。もう一度入れてから出せるか?」
「ん…、だぃじょ、ぶ…」
肩に回した左手でアレンの頭を撫でながら、手に唾液が垂れるように再び塗り付ける準備をする。
撫でる神田の手に自らの手を重ねて、その上から軽く握った。
「あり…が、と」
「あぁ」
同じ様に繰り返し潤した事で、抜き差しが楽に出来るようになる。
「ね、一緒がいい…」
「動けるか?」
「ん、平気」
こつり、と、額を合わせてから、互いを見詰めて触れるだけのキスをする。
「無理はするな」
「ん、解っ…ぁ、も…ぅ」
返事を聞く前に柔らかく捉えると、その先端を親指で擦り、滾る熱を呼び戻すかのように刺激を始める。
神田を支えにして体勢を整えると、与えるられる手の動きに魅かれるように身を沈めては引き出す。
「す、き…、だぃ、す、きっ、んぅ、…ぁ、かん…だぁ」
「っは、…俺も、だ」
「ね、…か、んだ…、っぅ、…きも、ち…い、い?」
「…っ、あぁ」
「よか…た、っぅ、…」
声に絡め纏わる水音が激しくなり、吐き出す吐息も熱く流れ出して行く。
「あぁ、も…で、るっ、…ユウゥッ」
擦る手を汚し、白濁した液体が二人の体を繋ぎ、くちくちと空気を孕んで鳴く。
程なく熱を持つ水分がその体内を満たし滴り出た。
荒く息をしつつ神田の肩に頭を預けると、優しく髪が撫で梳かれる。
「大丈、夫…か」
「…ぅん、…平、気」
ゆっくりとアレンの腰を抱き抱えるようにして、中に詰めていたモノを引き出すと、ごぷりと零れて温もりを伝えた。
「…ごめん、ね。汚し…ちゃった」
神田の体から下りると、自分が出したものと、今溢れたものに顔を寄せて舐め取ろうとする。
「いい、止めろ」
「でも…」
「今日はいい。来い、アレン」
腕を引いて横抱きに胸に抱き寄せると、その頭に顎を乗せる。
「なぁ、どうした?」
「…うん、夜中にごめんね」
「いや、それはいい。何かあったのか?」
「うぅん、何でも無い…」
「…そうか」
「うん。…大好き、大好きだから。大好き」
さわりと撫で、何も問わずに髪にキスを落とすと、そっとそこに頬を寄せた。
「俺は死なない。お前を悲しませたりはしない。離れないし放さないからな、アレン」
言わずとも抱えているであろう危惧を読み取るかのように神田は言葉を紡いだ。
「うん。…ユウ、ありがとう」
「夢を見たか?不安を覚えたか?」
「…うん、ごめんね」
「大丈夫だ。お前を傷つける事柄は、俺が全て許さない」
「うん…」
安心したのか、温もりと規則正しい心音が心地好いのか、うとりとアレンの瞼が閉じ始める。
「眠れ、心配無いから」
「…ぅ…ん、」
寝息特有の呼吸音が闇に混じると、暫くしてまた一つその音が夜に溶け、二人の安息の空間を優しく月明かりが包み込んだ。



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