其々の砌にて 橙 強くある心を映すような眼(マナコ)の光りを濁らせて、縋らせて、従わせたい。 どうやれば奴は手に入るだろうか。 奴で楽しんでみたいんだ…。 「おい、モヤシ」 いつもの様に軽く呼べば、必要以上に反応し噛み付くのもいつもの事。 「アレンですってば!バ神田っ」 「お前、セックスは好きか?」 「…は、ぇあ、はぃ?」 「セックスは好きかと聞いている」 「え…ぁの、ぇーと、…ぉ、え?」 「お前の体を貸せ」 「ちょっ…大丈、夫…です、か?頭」 「ついて来い」 「……神、…田?」 「怖いのか?」 くすり、と、笑いを零して揶揄すれば、ぴくり、と、眉が怒りを孕む。 「怖い訳無いじゃないですか!」 「だったら来いよ。付き合え」 歩き出すその後ろを大人しく付いて来る、何も言わずに付いて来た。 真偽を確かめようと思っているのか、苛つくまま後を追うのか、奴が来る。 思わす口元が弧を描き、小さく笑いが零れ落ちた。 何を思っていようと関係無い、先ずは堕として手に入ればそれで良い。 求める欲の空白を埋めさえ出来れば、満足出来れば良いのだから。 一時の暇潰し、楽しく有意義に過ごせそうじゃないか。 奴の心の強さは今までの女達とは違い、何処まで堪えてくれるのか。 頑固で一途、こうと思えば受け入れず、動かないのは知っている。 だからこそ楽しくて仕方ない、どれくらい楽しめるか。 【アレン・ウォーカー。】 [*前へ][次へ#] [戻る] |