[携帯モード] [URL送信]

パロ
晋とお杉の神隠し


千尋→杉
ハク→ヅラ
湯婆婆→坂田
釜爺→もっさんでどうぞ!




-------------------------







トンネルのむこうは不思議の町だった。
ありえない場所があった。
ありえないことがおこった。


10歳のガキ晋助が迷い込んだのは、
人間が入ってはいけない世界。

この町で晋助が生き延びる条件は
ただふたつ。
町の中心を占める巨大な湯屋を支配する
銀爺爺という強欲な魔王のもとで
働くことと
名前を奪われて
人間世界の者で無くなることだった。


晋助は名前を奪われ
「晋」という名で働くことになる。


人生経験豊かな
ボイラー焚きのもじゃ爺、
謎の美少年ヅラに励まされて、
晋助は反抗的に、
そしてイライラと働く。


眠っていた晋助の「グレる力」が
次第に呼び醒まされてゆく。
生きている実感とはこういうものか。



湯屋に突然現れた仮面の男カオナシ、
銀爺爺の姉お登勢の為に傷ついたヅラ。

果たして晋はどうするのか………










▼ヅラとの出会い





「っクッソ…!!何で肉食っただけなのに先生が豚になってんだよ…!!」


真っ暗闇の街道を泣きそうになりながらひたすら走る晋助。すると目の前に前髪を綺麗に揃えた美少年が現れた。




「……きっ…貴様まさか人間か!!」
「誰だテメェ………!!こっちくんじゃねェおかっぱ」
「おかっぱじゃないヅラだ」
「離せ!!やめろどけェ!!」
「馬鹿者!!お前が銀爺爺に見つからないように隠してやっているというのに!!」
「必要ねェ!!離せ!!」
「あっバカ見つかるぞ………あーあ」












▼銀爺爺と晋助




もっさりとした白髪をかんざしで止めた銀爺爺と対面した晋助は些か戦慄を覚える。この爺さんは怖すぎる。吊り上がった目、巨大な鼻、身体中につけているアクセサリー。

警戒している晋助をギロリと睨み、きつい口調でいい放つ。



「てめーは今日から晋だ」
「…ふざけんじゃねェよ、何で俺がてめェの言うこと」




晋助がすべて言い切る前に、銀爺爺は素早く背後に移動した。長い人差し指で晋助の首を絞めようとする。

「…文句いうなら服のサイズ用意してやんねーよ」



「……クッソ………!!」











▼もじゃ爺と晋





「ここで働かせろ」
「アッハッハッハッ」
「働かせろっつってんだよ」
「アッハッハッハッ」
「聞こえてんのかクソジジイ!!」


晋がいくら必死に叫んでももじゃ爺は忙しそうに四本の腕を動かしているだけだ。
無視されていることに苛立ちを募らせた晋は、一発殴ろうとドスドスと近づいていった。



「テメェいい加減にしねェと…!!」
「あー!!ダメじゃ来るんじゃないぜよ!」
「今さら言っても遅……!?」


晋の足の裏から何かがつぶれる音がした。



「あーあーまっくろくろすけ踏んじゃったのー足がまっくろじゃー」
「…テメェホントぶっとばす」












▼ヅラとおにぎりと晋



「…ッ先生…!!俺が必ず助けてやるからな…!!」

「おい待て!!晋!!」



畜舎から走り去った晋を慌てて追いかけるヅラ。







沢山の花に囲まれた場所にしゃがみこんだ晋を落ち着かせようと颯爽とおにぎりを渡すヅラ。


「晋、お食べ」
「いらねェ」


温厚なヅラの口調を冷たくはねのける晋。だがヅラは構わずおにぎりをおしつける。

「いや駄目だ。たんと食べないといかんぞ、今日も仕事が待っている」
「いらねェっつってんだろハゲ!!」
「ハゲじゃないおかっぱだ」
「あっちいけよ!!」
「食えと言っておるのがわからんかァァァァ」
「ぐほぁっ」


しびれを切らしたヅラはおにぎりを晋の口に突っ込んだ。













▼カオナシ





銀爺爺の部屋に呼ばれた晋。いつもと違う銀爺爺の雰囲気に警戒している。


「今日は上客が来るからな、ヘマやらかすんじゃねーぞ」
「……フン」


鼻であしらい踵を返す晋。
すると目の前に仮面をつけた真っ黒な生物がいる。


「………誰だテメェ」


晋が呟くと、そいつはゆっくり仮面を引き剥がし口を開いた。















「カオナシじゃない、ヅラだ」
「「何でだァァァァァ!!!!」」







全身真っ黒のヅラに銀爺爺と晋の飛び蹴りが炸裂する。


「何やってんだァァァ!!てめーもうハク役で出てんだろ!!何兼任してんだバカヤロー!!」
「いや見た目的に適役は俺しかいまい」
「だからって主役級二役もやるんじゃねェよ!!」
「欲しい、欲しい、晋、欲しい」
「ざけんなテメェぶっとばすぞ」
「晋はどこだ。晋を出せ」
「ここにいるだろォォォォォ」













▼銀爺爺の姉にやられたヅラ





「…おい!!ヅラ!!」
「これは…!!呪いじゃ!!」


ガハッと苦しそうに血を吐き、人間の姿に戻るヅラ。
しかし意識は戻らないようだ。眉間に皺を寄せながらも、ある決心をした晋はキッともじゃ爺を見る。

「……オイ…切符よこせ」
「おぉ…!!おんしもやっと他人のために何かをする気になったか…!!」
「うるせェ黙れ早く切符よこせ」
「6番目の駅じゃ、降り間違えるんじゃないぜよ」



ひったくるように切符をとった晋は全速力でボイラー室を飛び出す。


不思議な目をして見上げるまっくろくろすけに、にこりと微笑むもじゃ爺。




「愛じゃ、愛」











▼本名発覚




晋のおかげで呪いの解けたヅラは龍の姿で迎えに来た。
夜明け前の空を気持ちのよいスピードで突っ切っていく。





「……テメェの本名はわからねェのか」
「俺の本名…いや、出かかっているぞ…!!もう少しヒントをくれ」
「クイズ番組かよ」
「髪の毛が関係している気がするぞ…!!」
「おかっぱ」
「違う……!!その姿は偽りだ…!!」
「ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ!!!!」




下に広がる海にエコーがかかるほど力強く叫んだ。その瞬間、人間の姿へ戻るヅラ。髪型もおかっぱではなくサラサラロングヘアーになっている。




「おおお……!!そうだ、俺はヅラじゃない、桂だ!!」
「銀爺爺にヅラだヅラだと洗脳され続けた結果、そうだと思い込んでたんだなァ」
「ありがとう、晋……これで俺も地毛の世界にいつか帰れるだろう……!!」
「……良かったんじゃねェの」











-------------------

どう考えてもキャストはまりすぎだと思うんだ
ジブリも大好きだ!

2009.6.5



[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!