【切手のない封書】
カイモノ - momo -



「オガタくん、聞いてよ。俺、昨日…久し振りに良い買い物をしたんだ」

「買い物…ですか?」

「うん、そう。凄く綺麗で、幼くて…」

「綺麗で…幼い?」

「あぁ、そうなんだ。まだ、知らない事の方が沢山あるっていうのに、もう、自分は全てを知った気でいる、生意気な子をね」

「子供…ですか?モモさん、もしかしてついにそっちの道に??」

「ははっ、嫌だな、オガタくん。俺の好みは、君みたいに面白い人種だよ」

「モモさんこそ、嫌ですね。俺はいつも普通にしているのに。…それで、大丈夫なんですか?その子」

「大丈夫というのは…何が?」

「何がって…、取締が喜んで食いついて来そうな話にはならないんですか」

「あぁ…そうだなぁ、君とウチの面子さえ黙っていてくれれば…後は俺が何とか出来るレベルかな」


俺は馴染みの店で、店の準備を始める前に食事を摂る。
オガタくんというのは、俺が一方的に気に入っている馴染みの店のバーテンだ。
落ち着いた(実年齢より老けた印象の)風貌と、バーテンとしての腕、そして…何よりも俺の話のわかる所が何ともいえずハマっている。


「…また、ここへ寄越すようにするんでしょう」

「ははっ、ウチの連中が随分世話になっているようだから。俺がそうしなくても、いずれ…彼が来ることもあるんじゃないかな」

「…ウチの店にそういうのが来るのは、あまり感心しませんが」

「そう言うなよ、久しぶりの良い買い物だったんだ。マスターにもよろしく伝えて?俺のモノが来るって」


笑顔の俺に、オガタくんは久し振りに渋面を見せた。
彼のその表情は、俺の気持ちを揺らす。



楽しくなりそうな予感がした。










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