BLで、切ない片想いから、ハッピーエンドになるまでの小説を長めでお願いします
『今夜暇?付き合えよ、奢るし』
来た!来た!!奢るとかどうでもイイよ。
あんたに会えるなら、行く、今すぐ飛んでく!
−…馬鹿だね、お前。
冷静な俺、黙ってろ。
ユゲさんからのメールに心がざわつく。
変だってわかってるけど、どうしようもない。
あぁ…俺、ヤバい。
《21時》
約束の時間。
地下に続く仄暗い階段の扉の向こう、なんか…バーテンの後に魚とか泳いじゃってるんですけど…何この店。
やっぱ、あいつ、ホスト?
「ユウヤくん、こっち!」
「あ…どーも。何、こんなスカした店に呼び付けて」
「あはは。言ったろ?奢るって」
ソファを叩かれ、隣に座る。
ユゲさんの前には…ウイスキー?
あ。ウエイターが何も言ってないのに、カシスソーダぽいのを置いてった。
「好きだって言ってたろ?カシスソーダ。前にホテルで聞いた」
ちょっ…ヤメてよ、仕事で女にするみたいにサラっと…
「タラシ…。いつもそうやって口説いてんだろ」
「あぁ、酷いんだ」
とか、笑わないで。
眩しいんだよ、あんたの笑顔。
久し振りなユゲさん、セックス無しでも楽しいユゲさん、一緒に酒飲んで笑って……でも、また次にセックスしたら、俺置いて帰っちゃうんでしょ?
だって、俺達セフレだもんね?
「…やだ…」
「え?」
「…やだよ…。ユゲさん…ごめん、もう、ヤメよ?俺…もう会うの無理…ヤメよ?約束破る前に、今日楽しいままサヨナラしようよ」
あぁ、堪えられないよ、好きなんだ。
好きになっちゃったんだ。
ダメなのに…あんたとはセフレなのに…こんな楽しいと勘違いしちゃうよ…
…カッコ悪、涙出そ…
「奢ってくれんだよね、じゃ、俺行くから…」
得意のバイバイ、今日は俺から。
……ッ?!……
何??
手首に、ユゲさんの…手?痛い、離してよ…ズルいじゃん、俺一回も引き留めたことないのに!!
「待てって。俺まだ、ユウヤのこと口説いてないだろ?俺に口説かれないなんて…損するよ?…本当は、毎日会いたいとか…毎日キスしたいとか…君のこと、俺だけのものにしたくて堪らないって…聞かずに帰る?」
損って何だよ…けど、ユゲさんの力強い手が、本気だって言ってる。
…暖かいね…
やだ…泣くじゃん、俺。
…涙…出ちゃうじゃん…どうしてくれんだ、バカ…
翌日、ホテルのベッドで目が覚めた。
初めて俺の目の前に、ユゲさん…。
もう、バイバイ…要らないんだよね?
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