『所有の印』『昨日は、どうも』『右手の噛み跡』…をキーワードで盛り込んで、妄想して下さい。


少年の耳に、銀のクロスのピアスが付いた日、その場にいた全員が固まった。

独特の色合いをした銀のクロス、それは、あの男の所有の証。



―カツラギ ヨシツネ



このホストクラブオーナーである彼のものだという証。

ここに勤める者も、それ以外で彼を知る者も、そのピアスが彼のものであることを示す物だと知っている。


そうか、今度はアイツなのか…


誰もが最初は羨み、最後に憐れむ。
開店前のミーティングで、柔和に笑んだ男が口を開く。



「ハルキ、おいで」

「…あの、昨日は…どうも…」

「…何が?」



男は、少年を見つめ、笑う。

この男は、本当に昨日と同じ人間だろうか?
昨晩、俺の下であんなにも乱れ子供のように安堵した表情で眠った人間と、この男は同じなのか…?



「ハルキ、もう少しお前は先輩の話をちゃんと聞い方が良い。今後の為にも…」

「…は、はい…」

「…手、痛むか?」

「え?、あッ!いえ…」

「そう、ならいい。…次、アキト、おいで」



…同じだ。


昨日の右手の事を知っている…自分の付けた右手小指の付け根の噛み傷。

少年は、次々に従業員を呼び声をかける男を見る。
そんな彼を、周りは見つめ、先を憂う。





 ◆

 ◆

 ◆




「ちょっとヨシツネ、聞いたわよ…あんたまた…」

「何?ユウカちゃん」


スキンヘッドだが可愛らしく着飾るオカマちゃんを、男が見つめる。


「今度は潰すんじゃないわよ、あんたは危なっかしいんだから」

「優しいんだ」

「あんたの為じゃ無いわよ」


恥じらうオカマちゃんを見つめる瞳が和らぐ。


「ありがとう」












[*≪][≫#]

21/49ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!