「君を好きで、よかった」…でお願いします。
「えっ…それ、本当?」
数日前、何の話しからだったかは覚えていないけれど、ユウカちゃんから
『ユゲちゃん、ご両親を高校時代に亡くされて、お母様のお姉様のとこから学校行ってたんですってぇ。偉いわよね、ちゃ〜んと立派になって』
という話を聞いて、俺は、いつだったか自分が言った言葉を思い出していた。
「今日な、山田さんが心配してたぞ?ユウヤくん沈ませちゃったの、って」
「…あ…、うん…」
ユゲさんの家で、顔を合わせるなり気にしてた話をされて、言葉に詰まる。
「俺の両親の話、聞いたんだって?」
「ごめん…勝手に。ユウカちゃんもそんなつもりじゃ、なかったんだけど…」
なんだかバツが悪くて、眉根寄せたままでボソボソ喋ってしまう。
「…本当に、ごめん…」
こういうのは、ユゲさんから話してくれた時に知るべきだったんだ…なのに…。
顔がだんだん俯いてくのがわかる。
あぁ、ヤだな…そう思った瞬間、正面から抱きしめられた。
「山田さん言ってたよ…ユウヤが話の後に、前に最低なこと言ったかも、って泣きそうな顔してたって」
…だって、前、一緒に洋食屋に行ったとき…事情も知らずにマザコンだとか、シチューバカにしたり…俺、あんたがいつも笑うから。
親大事にしろとかもただのネタだって思ってて…
肝心な時に言葉が選べなくて、ユゲさんの首に両腕を廻す。
そっと抱きしめるみたいにして、肩口に顔を埋めた。
「…なぁ、ユウヤ。あんまり外で可愛い顔見せんなよ…お前の泣き顔、ヤバいんだから」
ユゲさんも、俺の肩に顔埋めるみたいにして喋ってくる。
…ダメ…弱い、それ…
「…なぁ、ユゲさん…親のこと、今も好き?…」
「…ん…好きだよ…」
「愛…してる?」
「…ん、愛してる…」
「俺も、なれる?ユゲさんの、愛し…ッ…」
喋りかけた口を、唇で塞がれた…
「…愛してる…手紙にも書いたろ?ちゃんと読んでないのか?…」
あぁ、またその眩しい笑顔…
初めて言われる −愛してる− 。
キスにか言葉にかはわからない。
ただ…今まで感じたことのない痺れるような感覚に、俺は、満たされていくのがわかった…。
[*≪][≫#]
[戻る]
無料HPエムペ!