ラブレターを、書いて下さい。書式として、『○○へ―本文―差出人より』で、お願いします。
『ユウヤくんへ
この前は、突然泣いてごめん…
それから、ずっと手を握っててくれてありがとう。
君はもっと、子供だと思っていたから…あんな優しい人のあやし方を知ってるなんて、驚きました。
前に、俺に口説かれないと損するよって君を口説いたわけなんだけど。
あの時、口説かないと後悔する!と思っていたのは、俺の方です。
先日、ふと君がいない時間、君と出会わなかった日々を想像して…そんなこと考えられないことに、俺は気付いてしまいました。
ユウヤくんはズルいな、まだ20年ちょっとしか生きてないのに、30年も生きてる俺よりずっと人の愛し方や癒し方を知ってるんだから…ちょっと、ジェラシーです（笑）
俺は、これからもっと君に相応しい人間になれるよう努力したいと思う。
君が、これからの人生に悩んだとき背中を押したら、さすがユゲさん!って言ってもらえる人間であるように…あと、気が早いって笑うかもしれないけど、ジーさんになった時も君の傍にいられるのは俺でありたい。
それじゃあ、この手紙を読んだら…また、俺の稚拙な愛に付き合って下さい。
愛しています、冗談抜きで。
ユゲ 』
この前、セックスして俺が気を失ってる間に…ユゲさんはこんな手紙をズボンのポケットに仕込んでたらしい。
目を明けたら、隣にいたし全然気付かなかった。
家への帰り道、この手紙を見付けて、俺は…泣いた。泣きながら笑った。
オッサンが泣いちゃってごめんとか言うなって…相応しい人間とかさ…こっちのセリフだよ。
便箋で顔を覆ったら、ユゲさんの煙草の香りがした。
そっか…ちゃんと考えて書いてくれたんだね…。
でも、初めての『愛してる』が手紙とか…次に会ったら直接言わせるからな、覚悟しといてよ？
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