モルモが行く!〜狩人篇〜
(モルモ+チェスター+リッド)




「今日は月に一度(適当)の狩りの日〜」なんて、チェスターが歌ってたから、オイラも連れてってもらうことにした。

「や、違ぇし。“今日は”は下がって、“月に一度(適当)”は…」

さっそく、世界樹の麓まで行った。




チェスターは同じ猟師であるリッドと一緒に、よくこの辺りで狩りをするらしい。
「今日は格好の狩り日和だ」とリッドは言ってたけど、オイラにはよくわかんない。
でも二人はわかってるみたいで、さっそく狩りの準備に取り掛かっていた。…といっても、特には何もしてない。ただいつもの武器を持ってるだけ。

ハテナだらけなオイラを見てチェスターはくくっと笑うと、「まぁ、見とけ」と言って空の方へ弓を向けた。そして勢いよく放つ。
まっすぐ飛んで行った矢の先には鳥が一羽。しかし、矢は鳥に当たることなく近くの枝に刺さった。

「あれ、外れてんじゃん」

オイラがそう言ったと同時に、矢から雷が生じた。バチバチッとものすごい音が出たと思ったら、驚いた鳥が気絶してまっ逆さまに落下してきた。そこへすかさずリッドの一撃。傷を付けることなく確実にとどめをさしていた。

「これが鳥に対するやり方な」

オイラの頭の上にぽんと手を置き、チェスターが笑った。
獲物は傷がついていない方が高く売れるらしい。だからあえて矢は外し、あんなやり方でやっていたんだ。
ふぅむ…狩りも奥が深いんだな、と一人納得していると、突然視界が真っ暗になった。

「はにゃ!!?」
「ははっ、飛んでるみたいだ!」

リッドが、仕留めた鳥を被せてきたらしい。
オイラはずっしりと重いこの鳥を支えきれず、フラフラと下降していった。




しばらくうろうろして獲物を数匹捕ると、本日の狩りは終了した。
今日はいつもより良い結果だったらしく、チェスターは売り上げを考えてニヤつき、リッドは大量の肉が食える!とニヤついていた。
ニヤニヤ。

オイラも結局手伝わされる羽目になり、小さめの鳥を一羽、背に担いであっち行きこっち行きのフラフラ飛行をしていた。


「さぁ、あとは帰って捌くだけだな」

ニヤついた顔でチェスターが言った。

そういや以前に一度、獲物を捌いてるチェスターを見たことがあったオイラはその時の光景を思い出してしまった。
血に塗れた手には鮮やかな紅が妖しく光るナイフ。その下に広がるのは無惨にも原型をとどめていない、元生き物。そして肉片、骨、皮…。

普通に会話してはいたけどさ、かなり刺激が強い画面だったよ。
うぉっぷ…と少々リバースしそうになりつつも、フラフラ飛行を続ける。
まぁ…彼らはそれが職業なんだから、オイラがとやかく言うことはないな。

(あとのことを考えると恐ろしいが)幸せそうな二人の笑顔に、なんだかんだいって嬉しさを感じてしまうオイラは、やっぱり後から後悔する羽目になるのであった。






モルモが行く!〜狩人篇〜終。








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過去拍手お礼文でした。


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